本研究課題の目的は、在宅要介護高齢者の介護サービス利用状況と身体・精神・心理機能・QOL等の健康指標を3年間にわたって縦断的に評価することにより、高齢者が受ける各種介護サービスの効果を明らかにすることである。平成17年度は、在宅高齢者を対象とした質問紙調査によりベースラインとなるデータを取得するとともに、3年間の縦断研究が可能なコホートを確保することを目的に研究を実施した。 平成18年3月に、三重県伊賀市在住の70〜74歳の高齢者530名を対象に自記式質問紙による調査を行った。調査票の配布に当たっては、伊賀市民生委員・児童委員連合会の協力を得て、各民生委員より2名の在宅高齢者に質問紙および返信用封筒、平成18、19年度の調査協力の依頼文書を配布した。調査票は調査票配布後2週間以内に在宅高齢者自身に三重県立看護大学まで返信してもらい、調査票の返信をもって平成17年度の研究協力への同意が得られたものとした。在宅高齢者が平成18、19年度以降の研究への協力にも同意する場合には、調査協力依頼文書に氏名・住所・連絡先を明記し、調査票と同封にて返信を求めた。 調査票は、高齢者の健康状態と介護保険サービスの利用状況の2項目により構成された。高齢者の健康状態として、調査票記入者(代理人記入の場合本人との関係・本人が記入できない理由を明記)、性別、年齢、身長、体重、家族構成、移動能力、外出頻度、うつ傾向(老人うつ尺度を使用)を質問し、介護保険サービスの利用状況として、要介護度、利用介護保険サービスを質問した。 調査票を配布した530名のうち、323名(60.9%)からの回答を得た。そのうち、平成18年度以降の研究協力に同意したものは238名(44.9%)であった。ベースラインデータの取得と共に、研究対象となるコホートが確保され、3年間にわたる縦断研究実施の基盤が確立された。
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