本年度の研究活動はホームレス支援を行っている関係機関との関係作り、ホームレスへのサポート状況やホームレス者の生活実態を把握することを目的とした。その方法として、支援している機関やホームレス者との関係構築と情報収集を目的としたフィールドワークと入院中のホームレス患者への質問紙を用いた面接調査を行った。質問紙の内容は、基本属性と入院前の生活(食事の状況・寝場所・清潔・仕事)、健康に対する認識、保健行動、結核の既往歴、結核に関する知識・態度・行動、利用しているサービスである。フィールドワークは、平成17年4月〜平成17年10月まで特別清掃事業登録者への定期的な健康相談や結核検診、大阪市内における巡回結核検診や巡回相談事業などを行った。結核検診では入院治療が必要であっても入院できない理由(ペットの世話、友人への連絡など)入院できない理由を解決することが重要であった。巡回相談では医療や福祉だけでなく法律や社会保険に関する相談も多く見られた。次に、平成17年8月〜平成17年10月に入院中のホームレス患者で、病院相談室職員によって調査に協力できると判断された患者98名を対象として質問紙を用いた面接調査を行った。そのうち4名が面接を中断、拒否したため94名を調査・分析対象とした。対象者は全員が男性で、年齢は36歳から74歳までで平均年齢は56.09歳(±6.95)であった。教育歴は小学校までが4名(4.3%)、中学校までが55名(58.5%)、高校までが31名(33.0%)、大学・専門学校が3名(3.2%)であった。本人の自己申告による結核の既往歴は15名(16.0%)が既往歴ありと答えていた。過去1年間に結核検診を受診しているものは39名(41.5%)であった。今後、詳細に分析・検討を進めていく予定である。
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