研究課題/領域番号 |
17800001
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
川瀬 博 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 教授 (30311856)
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研究分担者 |
纐纈 一起 東京大学, 地震研究所, 教授 (90134634)
岩田 知孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80211762)
藤原 広行 防災科学技術研究所, 特定プロジェクトチーム, プロジェクトディレクター
瀬尾 和大 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (30089825)
塩原 等 東京大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50272365)
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キーワード | 福岡県 / 強震動 / 震源過程 / 地盤増幅 / 地震被害 / 人的被害 / 室内被害 / 液状化 |
研究概要 |
平成17年3月20日に発生した福岡県西方沖の地震(気象庁マグニチュード7.0)は、平成7年兵庫県南部地震以降初めて大都市近傍で発生したM7クラスの地震である。大都市には鉄筋コンクリートから木造まで、様々な種類の構造物があり、統計的解析に耐える被害調査を行うことにより、建物等の被害軽減に資するデータを得ることが可能となる。本研究の主な研究内容と得られた成果は以下の通りである。 1)K-NET、KiK-net、気象庁震度計、自治体の設置した震度計の情報および民間の観測記録を収集し、臨時に観測した余震観測記録等も用いて、本震の震源破壊過程とそれによる強震動の空間分布を推定した。その結果、強震動を生成したアスペリティは比較的単純で震源の南東に位置していること、そのアスペリティからの強震動が警固断層の北東側での厚い第四紀層による増幅で大きくなり、福岡市中心部で大きくなっていたことが判明した。 2)被害の集中していた地域に限定して全数建物被害調査を行い、構造種別・階数・建築年代別による被害特性を把握した。同時に建物被害と人的被害との関連に関し地域内の人的被害・室内被害も調査した。また埋立地における港湾設備等の被害についても調査した。その結果、警固断層の北東側で建物被害率が大きくなっていること、古い建物ほど被害が大きいこと、室内被害は階数の影響が大きいこと、新しい建物でも靱性設計されていた建物では非構造部材に被害が多く発生することが報告された。 3)推定強震動と観測被害とを比較することにより、強震動入力に対してどれくらいの被害が予測されるか経験的非線形応答解析モデルを用いて検討した。その結果、兵庫県南部地震で構築された応答解析モデルでは被害が大きめに推定されること、実建物の特性でチューニングした応答解析モデルでは実被害と対応した結果が得られることがわかった。 以上のことから、少なくとも中破レベル程度までは実構造物の耐力は表面上の耐力よりもずっと大きいものと推定され、より正確な被害予測に向けその定量化が急務である。
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