研究課題/領域番号 |
17F17005
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
根本 裕史 広島大学, 文学研究科, 教授 (00735871)
|
研究分担者 |
CHOI KYEONGJIN 広島大学, 文学研究科, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
キーワード | チベット仏教 / 認識論 / 論理学 |
研究実績の概要 |
【定例研究会】外国人特別研究員・崔境眞氏は、当受入研究者と共に2017年4月より週一回のゴク・ロデンシェーラブ『量決択註難語釈』定例研究会を実施している.毎回の研究会を通じて写本資料の原典校訂および和訳を作成している.また,崔氏の博士論文で扱った,チャパ・チューキセンゲの『量決択註』の和訳の再検討会を実施している.
【研究成果の発表】その成果の一部を同年9月2日開催の第68回日本印度学仏教学会(花園大学)で発表し,2018年3月に学術論文「ゴク翻訳官の『難語釈』における決知(yongs su gcod byed)」として公開した.本論文で扱ったゴク・ロデンシェーラブの見解は,チベット仏教論理学史の中で展開される「正しい認識(プラマーナ)の定義」を巡る議論の出発点となったと思われ,本研究課題全体の中で大きな意味を持つものである.引き続き,その後の展開を追っていく予定である.
【そのほかの研究活動】崔氏は広島大学外の研究機関において開催される研究会への参加を通じて,情報収集と研究活動を精力的に行なっている.昨年度に訪問した研究機関および期間は次の通りである.筑波大学(2017年9月19日~22日,27日~29日の7日間),九州大学(10月19日から2日間),オーストリア・科学アカデミーアジア文化思想史研究所(11月1日~21日の約3週間)、武蔵野大学(12月23日から2日間).特に吉水千鶴子教授(筑波大学),酒井真道准教授(関西大学),Pascale Hugon博士(オーストリア・科学アカデミー・アジア文化思想史研究所専任研究員)と共に本研究課題に関して有意義な意見交換を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
崔境眞氏と当受入研究者は,定期的な文献講読会を通じて得られた成果を学会で発表し,論文として公開することを計画している.上述のように,既にその成果の一部を第68回日本印度学仏教学会にて発表し、同学会に機関誌にて学術論文を公開している.また,崔氏は11世紀のチベット仏教論理学における刹那滅論証の議論を扱った著書(単著和文)の平成30年度内の出版に向けて準備を着々と進めている.
|
今後の研究の推進方策 |
定例研究会を継続して実施し,11世紀のチベット仏教論理学のテクストの読解・翻訳研究を進めていく.その成果を2018年9月3日~7日開催予定のInternational Seminar of Young Tibetologist(ロシア・サンクトペテルブルク国立大学)にて発表する予定である.11世紀のチベット仏教論理学における刹那滅論証の議論を扱った崔氏の博士論文の出版に関しては,11月完成を目標に準備を進めている.昨年度と同様,広島大学を拠点にして国内外の研究機関における研究会などに積極的に参加することを計画している.2018年6月中旬には中国・チベット自治区・ラサ市での現地調査,6月下旬には韓国・ソウル大学における研究会への参加,8月にはオーストリア・科学アカデミーにおける11世紀チベット仏教文献の研究会への参加を予定している.さらに,9月中旬には,広島大学において「古代チベットの言語・論理・対話」(仮)と題する研究会を主催し,国内外の11世紀~13世紀のチベット仏教・文化の研究者を招いて総合的な討論を行う計画を立てている.
|