研究課題/領域番号 |
17F17028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井手口 拓郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 講師 (30735999)
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研究分担者 |
BADARLA VENKATA 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 中赤外パルス光源 / 光パラメトリック発振器 |
研究実績の概要 |
本研究は、ラベルフリー振動分光法を生命科学研究に適用するべく、中赤外パルスレーザーの開発、及び、中赤外パルスレーザーを用いた高速分光法の開発を目的とする。赤外吸収によるラベルフリー分光は、その非侵襲性と化学特異性により、生命科学研究のツールとして利用価値があるが、広帯域のスペクトルを高速に得る手法が未だ確立していないこともあり、その利用は限定的である。高速広帯域分光法が確立していない一つの理由として、分子振動の吸収がある中赤外領域の光源が未発達であることが挙げられる。中赤外パルスレーザー光源開発は、近年盛んに研究がなされているトピックであり、様々な手法の報告がなされている。本研究では、高速分光法への利用を念頭に置き、平均出力の高いパルス光の発生が可能である、光パラメトリック発振器を研究開発の対象とする。 本研究では、最初に中赤外パルス光源の開発に取り組んだ。中赤外領域のフェムト秒パルス光を発生させるために、フェムト秒光パラメトリック発振器の設計、及び、製作を行い、発振に成功した。具体的には、800 nmの波長領域で発振するチタンサファイアモードロックレーザーをポンプ光源として、PPLN結晶を非線形媒質とする光パラメトリック発振器を製作し、中赤外領域の2.2-4.6μmの範囲で波長可変のアイドラーパルス光の発生を確認した。発生した中赤外パルス光は平均出力が数十mW以上であり、種々の中赤外分光法への適用に十分な出力であることが確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中赤外パルスレーザー光を用いたラベルフリー振動分光法の開発に関して、最初の段階である光源開発に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、本研究の目的である中赤外パルス光源を用いた高速振動分光法の開発に進む。開発に成功したフェムト秒光パラメトリック発振器から出力する中赤外のアイドラー光を利用し、高速広帯域の吸収分光法の原理検証実験に進む。
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