研究課題
本研究の目的は(1)地上・人工衛星観測研究によりELF/VLF波動発生領域の空間的広がりと時間変動を明らかにし、理論により予測される波動特性と比較することで波動励起過程を実証すること、さらに(2)磁気赤道で発生した波動の伝搬特性を明らかにして、磁気圏内でのプラズマ波動の分布の時空間変動に対する磁気圏・電離圏環境の影響を究明することにある。平成29年度は、オーロラ帯低緯度領域の全経度範囲に展開されている電波・光学観測拠点による地上観測結果と、ERG(あらせ)衛星等による放射線帯領域での直接観測結果の解析を実施した。特にELF/VLF波動の地上・衛星共役観測イベントに着目した結果、北米・北欧に展開された地上観測ネットワークの観測とあらせ・Van Allen Probesによる同時観測イベントを複数例見出すことに成功した。中でもフィンランド北部・磁気緯度64.4度に位置する観測局・Kannuslehtoでの観測例は、1分以下の波動スペクトル微細構造まで衛星観測結果と合致するものであり、波動の発生・伝搬過程を捉える上で非常に重要なデータセットが得られている。事例解析と統計解析により、プラズマ波動の空間分布や時間変動の観測的特徴を整理し、波動励起過程と伝搬過程について考察した。以上の研究成果は1件の招待講演を含む5件の国際・国内学会での講演として発表しており、学術論文としての公表を準備中である。研究経費は主に成果発表と地上・衛星観測研究を行う研究者との研究打ち合わせのための国内・海外出張旅費として活用した。
2: おおむね順調に進展している
北米・北欧に展開された地上観測ネットワークの観測とあらせ・Van Allen ProbesによるELF/VLF波動の同時観測イベントを複数例見出すことに成功し、研究目的を達成するために必要なデータセットが既に得られている。国内外の共同研究者との議論も円滑に進められており、当初の研究計画に対して順調に進展していると判断される。
研究は順調に進展しており、次年度も当初の研究計画に従って研究を遂行する方針である。
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すべて 国際共同研究 (3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)