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2017 年度 実績報告書

イオンゲートと良質な界面を利用した強相関界面物性

研究課題

研究課題/領域番号 17F17041
研究機関京都大学

研究代表者

前里 光彦  京都大学, 理学研究科, 准教授 (60324604)

研究分担者 KISWANDHI ANDHIKA  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2017-07-26 – 2019-03-31
キーワード電界効果トランジスタ / 強相関電子系
研究実績の概要

分子性固体はファンデルワールス力などの弱い分子間相互作用で固体が形成されているため、本質的にバンド幅が狭く強相関電子系となりやすい。さらに、不純物の少ない非常にクリーンな系を作りやすいという特徴をもち、力学的に柔らかく、バンド幅制御による物性制御が容易に出来る。一方で、同一構造を保ったまま化学的にキャリアドープすることは容易ではなく、フィリング制御による物性研究は困難である。近年、イオンゲートなどを用いた電界効果トランジスタの研究が進み、半導体界面に高濃度のキャリア注入を行うことが可能になってきた。そこで、本研究では、非常に良質な表面あるいは界面を作りやすい有機半導体などの分子性結晶や薄膜を用いて、イオンゲートによる高濃度キャリアドープを行うことにより、強相関電子系の電子物性制御を行う。
本年度は、リソグラフィーにより表面がSiO2薄膜で覆われたSi基板上に微小電極を作成し、その上に有機伝導体の単結晶薄膜試料を貼り付けて、有機電界効果トランジスタを作成することを試みた。薄膜を作製しやすい二次元層状構造を持つBEDT-TTF塩などを用いて、二次元強相関電子系をもつ良質な単結晶や薄膜の作製に取り組んだ。実際に、約180nmの厚みをもつ有機単結晶薄膜を電極上に貼り付けることが出来た。
また、電界効果と合わせて高圧力による強相関電子系の電子物性制御にも取り組んだ。特にダイヤモンド構造をもつモット絶縁体に着目し、小型キュービックアンビルを用いた高圧下での伝導度測定を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、比較的薄膜を作成しやすい層状構造を持つ2次元系の有機伝導体を用いて薄い単結晶を電解合成し、微小電極を作成したSi基板上に貼り付ける手法をマスターすることが出来た。今後デバイス構造や試料・基板の組み合わせを最適化することにより、目的の物性制御が出来ると考えられる。また、高圧実験では、約8GPaまでの高圧下での伝導度測定に成功した。

今後の研究の推進方策

BEDT-TTF塩、DIETSe塩、TMTSF塩などを用いた電界効果トランジスタを作成し、高濃度キャリア注入実験を行う。基板上に微小電極を作製したうえで、薄膜単結晶試料を基板上に貼り付け、イオン液体などのゲート絶縁体を用いたトランジスタを作製し、動作実験を行う。まずは室温で行い、最適なデバイス構造や試料・基板・イオン液体の組み合わせを探索する。また、低温・強磁場・高圧などにおける複合環境下での実験を行い、モット絶縁体、電荷秩序絶縁体、スピン密度波などの強相関電子系の電子状態をキャリア注入によりコントロールし、金属-絶縁体転移や隣接超伝導などの周辺電子相の探索などを行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] High pressure transport study of the Molecular Dirac Semimetal Candidate (ET)Ag4(CN)52018

    • 著者名/発表者名
      Andhika Kiswandhi, Mitsuhiko Maesato, Shinya Tomeno, Yukihiro Yoshida, Yasuhiro Shimizu, Gunzi Saito, Hiroshi Kitagawa
    • 学会等名
      2018年物理学会第73回年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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