研究課題/領域番号 |
17F17068
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大宮司 啓文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10302754)
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研究分担者 |
SUH DONGUK 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 分子シミュレーション / 吸着 / 多孔質材料 / 材料設計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は二酸化炭素が円筒,円錐、ラバールノズルなどのような多様な形状の多孔質材料内に溜まることによって,変形する細孔が吸着現象の全般に与える影響を解明し,それをもとに理想的な吸着材を設計することである.現在の科学技術では高分子やイオン材料などを用いて孔隙の性質および長さと太さなどを設計することが可能だが,材料のパラメータの相関関係が複雑なため理想的な回収効率はいまだに不明である.既存の二酸化炭素回収物質の研究は試行錯誤と実験結果の解析からのトップ・ダウン型が大半であったことに比べ,本研究は分子レベルで二酸化炭素の吸着を向上させる因子を先に調べ,それと細孔が変形することをもとに吸着メカニズムを解明および理想的な細孔を設計するボトム・アップ型である.その結果から得た知見は新しい吸着材料を作製する際,使う基礎データだけでなく,既存の回収材の吸着性能の理解にも幅広く使用できる. 本年度は、本研究に先立って行われた気泡、結晶の異方核生成に関する分子シミュレーションの研究を学術論文にまとめた.多孔質材料内部における吸着の問題においても、初期吸着からポアフィリングに至るプロセスにおいて同様の現象が観察され、本研究との関連性は高い.また,多孔質材料のモデリングについて,当初は円筒型細孔など,単純な構造をもつ細孔を対象に研究を進める予定であったが,金属有機構造体など具体的な材料のモデリングも行った.吸着等温線,ひずみ変化等温線のみならず,細孔内部の吸着物質の構造的,動的性質についても実験との比較検討が可能となり,今後の研究の進展が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は,当初の計画に沿って,吸着の分子シミュレーションのソフトウエアを作成した.また,多孔質材料のモデリングについて,当初は円筒型細孔など,単純な構造をもつ細孔を対象に研究を進める予定であったが,金属有機構造体など具体的な材料のモデリングも行った.吸着等温線,ひずみ変化等温線のみならず,細孔内部の吸着物質の構造的,動的性質についても実験との比較検討が可能となり,今後の研究の進展が期待される.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の研究計画の通りに研究を推進する予定であるが,特長のある様々な多孔質材料についても計算の対象とする予定である.また,細孔内部の吸着物質の構造的,動的性質について,実験結果と計算結果の比較検討を行う予定である.
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