研究課題/領域番号 |
17F17069
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北原 辰巳 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50234266)
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研究分担者 |
AYDIN OZGUR 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 燃料自立型固体酸化物形燃料電池 / 直接内部改質 / 有限要素法モデル / 炭化水素燃料 |
研究実績の概要 |
燃料自立型内部改質固体酸化物形燃料電池(S2-SOFC)の実現可能性を調べるために、まず燃料極支持型ハニカムSOFCによる発電試験を行った。ハニカムSOFCでは構成する流路ごとに DIR(直接内部改質)領域とEHO(電気化学的水素酸化:発電)領域を分離しながら発電できるメリットがある.3x3の流路を有するハニカムSOFCを管状電気炉において,800-900℃に加熱し,種々の燃料極,空気極ガス供給条件で,電子負荷器により所定の電流を取り出した.ハニカム多孔質燃料極支持体は,熱ゲル成形法によるハニカム多孔質燃料極支持体の一体成形実績のあるメーカーに依頼して製作し,電解質、空気極をその支持体上に,所属研究室において塗布,焼成し作製した.初期的な検討として,ハニカムSOFCにより発電可能なことが示された. 一方,ハニカムSOFCでは,現状で複雑で高価になる可能性があるため、円筒型SOFCによるS2-SOFCの検討の余地がある。円筒型SOFCではDIR部多孔質円管をEHO部となる燃料極支持円筒型SOFCに内蔵した,二重円管によるS2-SOFCコンセプトの実現可能性を検討した。当研究室で解析実績のある有限要素法によりS2-SOFCシステムの数値モデルを作成し、円筒型S2-SOFCの概念を数値シミュレーションにより実証した。 その過程で、S2-SOFCシステムの設計に不可欠な高精度の数値モデルを構築するため、学内の他研究グループと共同研究を行い,改質器の乾式改質反応による吸熱冷却についてモデルを作成し、数値シミュレーションに成功した。 S2-SOFC数値計算を行う中で、物質輸送モデルにより、設計指針にかかわる重要な現象を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
S2-SOFCの数値計算を行う中で、有限要素法による物質輸送モデルにより、設計指針に必要な知見を明らかにできたことから、円筒型S2-SOFCを設計できた。これにより、内径の異なる多孔質円筒を焼成して円筒型S2-SOFCを作製し、発電試験により実証するための準備ができた.
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今後の研究の推進方策 |
29年度に得られた数値モデルに基づいて、内径の異なる多孔質円筒を焼成して作製し、S2-SOFCを組み立て、発電実証試験を行う。S2-SOFCの耐久性まで考慮したセル構造や運転条件や提案につなげるために、内部改質運転時に予想される電流振動、温度分布,炭素析出分布を明らかにする.それぞれ、クロノアンペロメトリー、多点熱電対直接表面温度測定、発電後の電極FE-SEM観察を円筒型およびハニカム型S2-SOFCに適用して評価する。さらに、発電試験に基づいて高精度化した数値モデルを活用し、S2-SOFCシステムの改質部および発電部の最適三次元構造および運転条件の最適指針を提案する。
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