研究課題/領域番号 |
17F17073
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清田 隆 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (70431814)
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研究分担者 |
MUNOZ PRINCIPE HENRY 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 補強土 / ジオセル / 土中引き抜き試験 / 盛土材粒径 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、盛土擁壁背面の新たな引張り補強材を開発と、その補強効果発揮メカニズムを明らかにすることを目的としている。本研究では、様々な粒径の現場発生土もその内部に収めることが可能で、かつ立体構造に起因する高いアンカー力が期待できるジオセルに着目した。 昨年度は、一連のジオセルの土中引き抜き試験を、粒径の異なる礫質土盛土地盤に対して実施した。各セルについて、異なる高さと間隔を有するジオセル模型による引抜き試験も実施し、盛土材粒径、およびジオセルサイズがジオセルの引抜け挙動に及ぼす影響を調べた。その結果、ジオセルには3通りの土中引抜けパターンが存在することを見出した。具体的には、盛土材粒径が大きくジオセルのセルの間隔が狭くなると、セルの受働土圧が十分に発揮されず、セルと盛土材が一体となって引抜ける(block failure)。また、セルの間隔がやや大きくなると、引抜け方向にある一つ前のセルの背面は引抜けと共に乱され、全体の引抜け抵抗が低下する場合がある(interference failure)。更に、セルの間隔が十分大きいと、各セルが十分に受働土圧を発揮するが、 敷設長当たりのセル数は少なくなる。次年度では、これらの引抜けパターンと盛土材粒径・ジオセルサイズとの関係を詳細に調べる予定である。 その他、昨年度は、ジオセルと従来の面状補強材を用いたこれまでの振動台模型実験結果を整理すると共に、画像解析を用いて過去の実験の再分析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はジオセルの引抜き試験を中心に実施し、多くの貴重なデータを取得することができた。顕著な成果は、ジオセルの引抜け挙動には3つのモードがあることを実験的に示したことであり、これは周辺地盤とジオセルサイズとの相互作用に起因すると考えられる。このような複雑な挙動は、従来の面状補強材による検討では確認されないものであり、これを理解することはジオセルを用いた補強土擁壁の開発には非常に重要なものである。昨年度の成果は国際会議に投稿済みであり、国際誌にも2編投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
盛土擁壁背面の補強材として一般に用いられているジオグリッドなどの面状補強材は、高い耐震性を有することが昨今の地震により示されてきたが、依然として補強土技術の一般構造物への適用・普及に課題が残されている。補強土技術の普及を妨げている要因の一つに、既存の補強土技術では高品質な盛土地盤材料と施工技術(締固め)が常に要求されることが挙げられる。昨年度行った実験は、十分締固められた盛土地盤を対象に実験を実施してきたが、次年度は盛土の品質によらず、要求される性能を実現し得る盛土補強材を開発することを目的とし、締固め度の低い盛土や現場発生土も対象として実験を行う。その他、ジオセル引抜け時の周辺地盤との相互作用をより正確に把握するため、改良した一面せん断試験機を用いて土粒子の挙動とひずみの発達を画像解析により検討する、
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