研究課題/領域番号 |
17F17079
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 満 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30151541)
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研究分担者 |
RAO BADARI NARAYANA 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-07-26 – 2020-03-31
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キーワード | 薄膜 / 強誘電体 / フェリ磁性 / マルチフェロイックデバイス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,電場による磁化方向の制御であり,当該分野での材料の潜在能力を詳らかにして礎研究から磁気記録材料としての応用の橋渡しをする.垂直方向に磁化と電気分極が同時に向いたマルチフェロイック物質を実現するための戦略を構築するために,まず,寄生強磁性と強誘電性を併せ持つ既知物質のYMnO3(YMO)型酸化物に焦点を絞り,磁気・電気的異方性を支配するキーパラメータを捜し出す.研究内容は(1)種々の基板の上に堆積させ,面内歪みの大きさをチューニングし(2)YMnO3/強誘電体のヘテロ構造を作製して面内歪みの大きさを外因的に調節した際の磁気転移温度と強誘電転移温度の調査し,(3)磁場・温度・電場勾配下での膜成長でカチオンサイトでのーパントイオンの規則度を調節することで磁気秩序温度の上昇させ,(4)YMO 型構造以外の構造あるk-Al2O3型構造におけるマルチフェロイック性の確認も行う. Pulsed Laser Deposition法により,目的組成の酸化物薄膜を作製し,薄膜X線法により構造を解析し,磁化特性,強誘電性,およびマルチフェロイック特性を既存の物性物性測定装置を用いて行った.薄膜作製に関しては初心者であったため、実験に慣れるための予備実験として、各種基板上に酸化物の薄膜堆積を行った。k-Al2O3型のAlFeO薄膜に関しては,室温で強誘電性とフェリ磁性をを確認する等、我々が過去の実験で成功していなかった事実を検証できた。またデバイス作製に向けて、積層構造とサイズおよび膜厚、エッチングの方法等について詳細な検討を行い、次年度に向けた具体的な研究実施計画を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年6月に来日して、新しい研究分野に移行して、実験に習熟するとともに、研究実施計画を本人に立案させながら、定期的に打ち合わせを行いながら、研究を遂行させた。その結果、本人の研究実施能力に関しては高度な研究を実施するためにも問題の無いレベルに到ったことを確認し、酸化物デバイスの基本設計指針を理解するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、酸化物マルチフェロイックデバイスの実現に向けて、強力に研究を推進して行くため、試料作製、デバイス構造の設計、測定法も含めて常時議論を重ねながら研究・実験を推進してゆく方針である。なお、H29年度の予備実験の結果を踏まえて、研究成果を国際会議で発表させるため、研究費の中で、国際会議参加用の旅費を計上している。
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