エネルギー資源不足や地球温暖化問題の解決は、科学技術に対する社会の強い要請であり、高効率エネルギー貯蔵・変換材料技術の開発は問題解決の有効な手段の一つである。本研究では、有機系構造体の形状制御を行い、それを鋳型・前駆体として用いて炭素化処理を行うことにより、エネルギー貯蔵・変換に適した形状、構造及び活性サイトを有する炭素系材料を合成し、エネルギー貯蔵・変換効率の大幅な向上を目的とする。水熱反応を利用して、モリブデン酸ナトリウムと硝酸コバルトとの反応により、一次元モリブデン酸コバルトナノロッドを合成した。これを原料として、メタノール/水/トリエチルアミン(H2O/CH3OH/TEA)混合溶液中で、配位子2-メチルイミダゾール(2-methylimidazole (MeIM))との反応により、モリブデン酸イオンが配位した中空型一次元ZIFナノロッド構造体を合成した。さらに、アルゴン雰囲気下で、高温処理することにより、炭素化させた。電子顕微鏡解析を行うことにより、得られた炭素材料は中空型一次元ナノロッド構造を有することが分かった。HAADF-STEM及び元素マッピング解析により、コバルト及びモリブデンは一次元カーボンナノロッド構造体に均一に分散されていることが明らかになった。合成された、コバルト及びモリブデンが均一に分散し、窒素ドープした中空型一次元カーボンナノロッドを電極触媒として水電解水素発生反応に用いた結果、高い性能を示すことを見出した。
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