研究課題
動物と違い、植物は移動できないため、完全に先天免疫によって感染を防ぐ。また、循環システムがないため、各々の植物細胞が自律的に免疫応答を誘導できる。病原微生物に対する先天免疫の最初の段階はmicrobe-associated molecular patterns (MAMPs)と呼ばれる微生物由来刺激によって誘導される。MAMPは同種の微生物に広く保存される物質の総称である。例えば、細菌の鞭毛ペプチドflg22や真菌の細胞壁成分キチンがMAMPとしてよく知られている。MAMPは微生物に広く保存されるため、その認識による免疫は植物に幅広い病原菌に対する耐性を付与する。従って、近年MAMPによる免疫の分子機構の研究は盛んにおこなわれてきた。先行研究は原形質膜に局在するプロトンポンプ(PM H+-ATPase)はMAMPによって阻害され、MAMPよる免疫応答に重要であることが示唆されたが、その直接的な証拠とメカニズムは明らかになっていない。本研究は代表的MAMPであるflg22及びキチンを用いて、MAMPによるPM H+-ATPaseの制御機構を明らかにすることを目的し、研究を行った。前年度の成果として、孔辺細胞及び葉においてはじめてMAMPがPM H+-ATPaseを阻害すること明らかにし、FLS2、CERK1、BAK1、BIK1とOST1などのシグナル伝達因子を同定した。本年度の成果として、Ca2+がflg22によるPM H+-ATPaseの阻害ことを明らかにした。また、孔辺細胞オミクス解析によって、より詳細なMAMPによるPM H+-ATPaseの制御機構の解明に向けて候補となる因子も数多く同定した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Cell Physiol
巻: 60 ページ: 1146-1159
10.1093/pcp/pcz031
http://plantphys.bio.nagoya-u.ac.jp/