研究課題
本研究は,ヒマラヤ山脈を中心に山地形成が活発化しモンスーン気候が発達し始めた後期中新世の約900万年前以降や,氷期・間氷期の気候変動が始まりモンスーン気候が顕著になるとともに,中部日本の主要山脈の隆起が始まった,後期鮮新世の約300~250万年前以降の地層から産出する植物化石相の変遷を明らかにし,モンスーン気候の発達と山脈隆起が東アジアの植生変遷や植物相の形成に与えた影響を明らかにすることを目的とする.後期中新世初頭の土岐口陶土層・土岐砂礫層(岐阜県南部),前期更新世の菖蒲谷層(和歌山県北部),魚沼層(新潟県南部),狭山層(東京都西部)から産出した植物化石標本を用い,中国雲南省横断山脈の後期鮮新世以降の植物化石群や,中国科学院昆明植物研究所植物標本庫に保管されている現生植物標本との比較を行った.日本の後期中新世初頭(約1000万年前)以降の地層からごく普通に産出し,マンサク属に同定されていた果実化石の形態を検討した結果,現在は中国東部とイラン北部のごく限られた地域場所にそれぞれ1種ずつ隔離分布するパロティア属で,中国の現生種P. subaequaleと同じものであることが明らかになった.世界各地の化石記録を検討し,パロティア属の新生代の分布変遷と気候変化との関係を調べたところ,中国北西部と北海道の始新世からの化石記録があり,中新世には北東アジアに広く分布し,日本には中期更新世前半まで残存していた.ヨーロッパの化石記録は後期新生代の分布が広域にわたり,比較的高緯度地域にも更新世まで残存していた.これらのことから,現在では分布域が極めて限られている植物の分布がかつては広域に広がっており,更新世後半の氷期・間氷期の気候変動によって急激に分布が縮小したことが明らかになった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Systematics and Evolution
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http://www.h.chiba-u.jp/lab/seitai/member/momohara.html