研究課題
前年度までに、マウスを用いた横行大動脈圧負荷心不全モデル(TAC)術後の心臓において有意に発現上昇を認める非翻訳性RNA遺伝子を同定し、さらにそれらの心臓特異的遺伝子欠損マウスを用いたTACモデルの心機能解析より、これらの非翻訳性RNA遺伝子が心不全病態形成において心保護的に作用することが明らかとなった。本年度は、これらの非翻訳性RNA遺伝子について心不全病態形成における分子機構の網羅的な検討を行った。心筋特異的非翻訳性RNA遺伝子欠損マウス及び野生型の心臓組織を用いてプロテオームによる網羅的解析を行い、これらのデータをもとにLable Free Quantitativeアノテーション解析を行った。上昇を認めるタンパクはミトコンドリア代謝、脂質結合との関連を認め、生体心筋細胞におけるミトコンドリアや脂質代謝の制御機構が示唆された。さらに、複数の同定されたタンパクはデータベース上、非翻訳性RNA遺伝子の標的遺伝子として考えられ、A1bg、Atp5g2、Suoxの3遺伝子が候補として同定された。また、血中におけるこれらの非翻訳性RNA遺伝子は心不全との関与が示唆されており、心不全病態形成の多臓器連関の観点から心臓以外の組織における非翻訳性RNA遺伝子の産生・分泌臓器を探索について検討を行った。野生型マウスを用いて各組織の非翻訳性RNA遺伝子の発現解析を行い、心臓組織以外の臓器(褐色脂肪細胞組織、骨格筋組織など)において産生・分泌されることが示唆された。今後、TACモデル術後に、心臓以外の組織の発現解析を行い、心不全病態において血中濃度に寄与する発現臓器を同定する。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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