研究課題/領域番号 |
17F17301
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安岡 孝一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20230211)
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研究分担者 |
LI YUAN 京都大学, 人文科学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-10-13 – 2020-03-31
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キーワード | 人文情報学 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本古辞書の多様性・複雑性に対応できる翻刻階層モデルの構築によって、奈良時代から伝存する良質な日本の古写本古辞書文献資料を電子化し、さらにそのオープンアクセスを実現するための基礎研究である。特にこれまでの古写本翻刻の先行研究における漠然とした文字同定の包摂問題や、異なる古辞書の連携などの課題を解決することを研究目的とする。高山寺本『篆隷万象名義』を中心資料として、天治本『新撰字鏡』、図書寮本・観智院本『類聚名義抄』を同時に視野に入れ、『篆隷万象名義』の掲出字と対応する部分も研究対象とする。 上記の目的を達成するために、[(1)古辞書電子テキストの校勘作業][(2)字書の項目構造化による本文記述]を基に、[(3)古辞書翻刻階層モデルの構築]へ至るまで三つの作業を段階的に進める。 当年度は、(1)古辞書電子テキストの校勘作業を主たるテーマとした。『篆隷万象名義』の原本と近世写本、各種の覆製本・諸家の翻刻を参照して校訂本文の精度を高めた。その成果を2017年10月の第117回訓点語学会研究にて発表した。また、『篆隷万象名義』の本文研究に関する論考二本が「Journal of the Graduate School of Letters」Volume 13と「東亞文獻研究」第20輯に掲載された。そして、電子テキスト化による『新撰字鏡』・『類聚名義抄』に関する内容研究や辞書項目構造記述についての考察の成果を2017年12月の人文科学とコンピュータシンポジウム2017にて発表した。 (2)字書の項目構造化による本文記述につき、2018年3月の東洋学へのコンピュータ利用第29回研究セミナーで、公開済みの高山寺本篆隷万象名義全文テキストに基づき、掲出字を対象に、古辞書翻刻階層モデルを適応し、原本玉篇の対応部分を記述し、一部の字例のデータセットを提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究進捗に応じ、研究分担者(李媛)が半年間で5本の論文を発表しており、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本文構造化記述を行い、反切中心となる部分を抽出し、玉篇系字書音韻データを整備する。モデル構築の第一段階、『万象名義』の翻刻に揺れのある掲出字の階層翻刻作業を行う。すなわち、原本『玉篇』残巻と対応しない部分の『万象名義』の原本画像と、掲出字全体を解読した先行研究を照合した上で、その照合した結果に基づき、約2,000字の翻刻揺れのある掲出字に古写本古辞書翻刻階層モデルを適応させ、階層翻刻作業を行う。 次に、モデル構築の第二段階、『新撰字鏡』・『類聚名義抄』まで範囲を広げ、階層翻刻作業を行い、問題点を洗い出す。具体的には、拡大した調査範囲に対し、それぞれ階層翻刻作業を行い、これらの古辞書間の異体項目の連携を実現するために、必要となるオプション(補助的階層)を追加して、古写本古辞書の多様性に適応する理論を検討し、汎用性の高い翻刻階層モデルにするために修正を加える。 さらに、先行研究における漠然な文字同定の事実上の包摂範囲を明示し、古辞書翻刻階層モデルを精練させる。古辞書翻刻階層モデルによる電子テキスト記述に関するガイドラインの作成とデータの公開をおこなう。
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