研究課題/領域番号 |
17F17330
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
齋藤 文紀 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (00357071)
|
研究分担者 |
GUGLIOTTA MARCELLO 島根大学, エスチュアリー研究センター, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
|
キーワード | デルタ / 河川海洋遷移帯 / 河川潮汐遷移帯 / メガデルタ / 潮汐卓越型 / アジア |
研究実績の概要 |
メコンデルタにおける河川・海洋遷移帯について,ベトナムにおいて,すでに取得していた河川地形データと河床から採取した堆積物を解析し,それらの特徴を取りまとめて論文を投稿した.これらの解析の結果,メコンデルタの河床地形や堆積物は,上流側と下流側で大きな違いがあり,河川地形では,川幅が一定で,下流に向かって水深が深くなり,河川の蛇行度が大きな上流部と,川幅が下流に向かって広く,また水深が浅くなり,蛇行度が小さく直線的な下流部に大別される.これらの対応して,堆積物では,上流側では礫を含み,泥分をほとんど含まない砂からなる上流部と,砂泥細互層からなり,細粒な堆積物が卓越する下流部に分かれる.これらの特徴は,上流側が河川卓越の環境であるのに対し,下流側は潮汐卓越の環境であることを示している.これらの結果は,国際誌のSedimentologyから,2019年1月に出版された.また,これらの堆積物に含まれていた泥の偽礫(マッドペブル)については,その特徴を取りまとめて,国際学術誌のJournal of Sedimentary Researchから,2018年9月に出版された.また,ベトナムのドンナイ川における河床調査と,メコンデルタのバーライ放棄河道におけるボーリング調査を実施した.これらの取りまとめは,2019年度に実施の予定である.これらの他に,メコンデルタで明らかになった潮汐卓越型の大規模デルタにおける河床地形の特徴について,ガンジス・ブラマプトラデルタ,長江デルタ,イラワジデルタ,フライデルタにおいて,同様の解析を行い,これらすべてについて同様の特徴があることを見出した.これらの結果については,Earth-Science Reviewsに投稿し,受理された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初研究対象としていたメコンデルタとその周辺域については,当初の計画通り研究が進捗している.これに加えて,見出した成果を世界を代表する他のメガデルタに適用した結果,同様の成果が得られ,その結果は,当該分野で最高に近い国際学術誌であるEarth-Science Reviewsにおいて受理された.この成果は,潮汐卓越型の大規模デルタの維持管理や,土砂採取にも大きく貢献することから,当初の計画以上に進展していると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は最終年にあたり,これまでに取得したデータや試料のとりまとめを行う.特に,2018年度にベトナムのドンナイ川で採取した河川地形データ,河床堆積物データのとりまとめと,ベトナムにおメコンデルタの放棄河道で行ったボーリング試料の解析を中心に行う.
|