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2018 年度 実績報告書

局在化1,3-ジラジカルの構造と反応性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17F17340
研究機関広島大学

研究代表者

安倍 学  広島大学, 理学研究科, 教授 (30273577)

研究分担者 SARKAR SUJAN  広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2017-11-10 – 2020-03-31
キーワード局在化一重項ジラジカル / 重原子トンネリング
研究実績の概要

化学反応は結合の開裂と形成で成り立っている.局在化一重項ジラジカルは,結合のホモリシス過程に必ず介在する鍵中間体であり,その構造と反応挙動を精査しその化学的性質を明らかにし理解することは,化学反応の深い理解に繋がり,創薬や機能性材料の合成反応の開発に展開することができる.本研究では,これまで,極めて短寿命でありその構造と反応性があまりわかっていない,局在化シクロペンタン1,3―ジラジカルの化学を明らかにするため,その前駆体であるアゾ化合物2,3-ジアザビシクロ[2.2.2]ヘプテンの合成と対応するジラジカルの発生と単離を低温マトリクス法によって実施した.
まず.アゾ化合物をMTHFに溶解し低温5 Kで光照射を行い,発生するジラジカルを電子スピン共鳴(ESR)法によって直接観測を試みた.その結果,典型的な三重項ジラジカルに帰属できるESRシグナルが観測された.興味深いことに,低温5 Kにおいても,そのトリプレット種のESRシグナルが減衰することを見出した.つまり,三重項ジラジカルは稀な重原子トンネリング減少によって環化体であるビシクロ[2.1.0]ペンタンへと異性化することが示唆された.そこで,その現象を確認するために,構造決定が可能な赤外分光(IR)法によってその光脱窒素反応の分析を行った.その結果,ESR分析によって示唆されたように,三重項ジラジカルからビシクロ[2.1.0]ペンタンへの重原子トンネリングによる異性化反応を世界で初めて確認することができた.この実験的な観測を理論化学的に調査するため,トンネリング現象の理論的研究の専門家であるKozuch博士との共同研究を開始し,実験結果が重原子トンネリング現象であることが判明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究では,極めて短寿命である一重項ジラジカルの直接観測を目標に行ってきたが,本年度の研究によって,その直接観測のみならず,極めて稀な重原子トンネリング現象を見出した.このことは,予想以上の成果であり,さらに深いジラジカルの理解に繋がった.

今後の研究の推進方策

今後の展開としては,トンネリング現象であることのさらなる確証を得るため,重原子効果,例えば,重水素ですべての水素原子を置換した基質を合成し,その重水素家事ラジカルの発生と実験的観察を行い,理論化学との相関を検証する.

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公開日: 2021-12-27  

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