研究課題
CoCoアルゴリズムについての計算機実験によりタンパク質相互作用データに基づく進化的スコア(PPIES)を用いる方が進化系統樹を用いるよりも良い精度を持つことが判明した。また、CoCoアルゴリズムを既存のタンパク質モジュール検出手法であるClusterONE、および、CORUMと比較した。その結果、CoCoとCORUMにより検出されたモジュールは、ClusterONEと比較して、より類似の生物学的機能を持ち、かつ、より密度が高いものであった。さらに,CoCoが検出したモジュール内のタンパク質は、CORUMとClusterONEのモジュールに含まれる大部分(87%)のタンパク質を含んでおり、かつ、既存のモジュールに含まれない5321個のタンパク質を含んでいた。さらに、CoCoは腫瘍と深く関連するITGAVモジュールを検出することに成功した。一方、本研究において開発を開始した、深層学習を用いた遺伝子発現データ、遺伝子変異データ、遺伝子進化データの統合解析による腫瘍のサブタイプ分類法について研究を進め、手法を完成させた。なお具体的には、上記のPPIESスコアを用いて重要な遺伝子を選択して遺伝子発現データと遺伝子変異を統合するFESという手法と、多次元尺度構成法を用いて遺伝子発現データ、遺伝子変異データ、遺伝子進化データを統合するIMSの2種類を開発した。そして、TCGAデータベースより取得した乳がんの5種類のサブタイプデータ、および、(乳がん以外の)7種類のがんとその計14種類のタイプデータを用いて評価を行った。その結果、既存手法と比較して、FES,IMSともに有用性があることを示すことができた。
2: おおむね順調に進展している
開発を続けてきたCoCoアルゴリズムがほぼ完成し、かつ、他のモジュール検出法との比較により、その有効性を示すことができた。さらに本研究において研究を開始した深層学習を用いた遺伝子発現データ、遺伝子変異データ、遺伝子進化データの統合解析による腫瘍のサブタイプ分類法も開発が完了し、国際会議で発表するに至った。
CoCoアルゴリズムの更なる改良と評価を進める。また、深層学習による腫瘍のサブタイプ分類法についての更なる改良を検討するとともに、Journal版論文を出版する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 ページ: 454
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Proc. IEEE 18th International Conference on BioInformatics and BioEngineering
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