研究課題/領域番号 |
17F17402
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
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研究分担者 |
HWANG SUNG-WOOK 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 樹種識別 / 人工知能 / 機械学習 / スケール不変特徴変換 / 深層学習 / 顕微鏡画像 |
研究実績の概要 |
生存圏研究所の材鑑定調査室が保有する標準木材標本より、機械学習用にクスノキ科の標準木材標本から画像データベースを作成した。個々の標本より一年輪を含む約2.6mm四方の領域から木口面の光学顕微鏡写真と実体顕微鏡写真を撮影し、これを画像データベースとした。画像特徴量の検討としては、SIFTに着目し、まずは精度の高い識別結果が得られる条件の検討を手始めとし、画像のサイズ(サンプル領域の大きさ)と解像度(画像の分解能)を決定し、各特徴量について最適化条件を明らかにして、これらをまとめてJournal of Wood Science誌に報告した。また、SIFTによる判別方法の改良として、グーグルなどの画像サービスでも実装されている、bag of feature 法の検討に取り組んだ。また、人の設計するSIFTに加え、特徴抽出から知的判断まで人を介さない深層学習の導入にも着手した。全ての計算は、プログラムはpython3.6上で開発し、openCVやTensorFlow+Kerasなど、画像処理や機械学習のツールを利用して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに進んでいる。クスノキ科について4属39種合計1658枚の光学顕微鏡データベースを作成した。このデータベースを元に、 SIFT特徴量を用いた樹種識別においては、分解能で数マイクロメートル、900x900画素の画像が最も精度の高いモデルを組むことができること、また、それらの特徴量がどこを見ているのか可視化することで明らかにした。この結果は2018年4月号のJouranl of Wood Scienceに掲載された。また、年度末に導入したGPUマシンがうまく稼働するようになったため、今年度は予定通り、方法論的には深層学習にも拡張する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
SIFT特徴量については、極めて高精度な識別モデルが構築されたが、さらに精度を高めるために、Googleなどで実際に用いられているBag-of-Featureモデルの構築に挑戦する。すなわち、全画像から抽出したSIFT特徴量をクラスター分析して辞書を作成する。そして、各画像の特徴量を辞書の単語の存在比でもって表すというものである。この方法により、より精度の良いモデルができると同時に、計算機が何を根拠に識別するかにまた一方近づくことができる。 また、深層学習のためには韓国の木製工芸品に頻用される木材樹種を選別し、その実体顕微鏡の画像データベースを作成することをまず第一歩とする。作成次第深層学習の素材として利用する。木材の個体数を増やす必要があるため、できるかぎり、国内外の研究機関と協力して標本の収集にも務める。
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