研究課題/領域番号 |
17F17404
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
吉田 誠 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30447510)
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研究分担者 |
ZHANG YIXING 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2021-03-31
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キーワード | リグニン / 白色腐朽菌 |
研究実績の概要 |
石油資源の枯渇や地球温暖化への懸念を背景として、再生可能でカーボンニュートラルな資源である植物系バイオマスからのバイオ燃料生産やバイオベースポリマーの生産などの技術開発が切望されている。近年、セルロースなどに代表されるような植物細胞壁多糖類のリファイナリー技術については飛躍的な進展が見られるものの、植物細胞壁の約30%程度を占める高分子芳香族化合物であるリグニンについては、その安定性の高さや難分解性により、これを原料とした物質変換は未だ困難を極める。本研究では、リグニンを単独で完全分解可能な地球上で唯一の生物種である白色腐朽菌に着目し、これを代謝工学的に改良することで、リグニンを原料としたエタノール生産システムを構築する。具体的には優れたリグニン分解能力とエタノール生産応力を有する株を代謝工学的に創出することを目指す。 これまでの研究において、ヒラタケやエノキタケなど幾つかの菌類を用いてバニリン酸や安息香酸を添加した培地でとして培養したところ、明確な生育が観察された。この生育挙動はバニリン酸や安息香酸の濃度に対して、異なる担子菌がそれぞれ異なる依存性を示した。さらに代謝物を解析したところ、菌によって異なる代謝物が検出された。現在、さらなる代謝経路の解明に向けた調査を実施しているとともに、前年度までに取得した芳香族代謝関連遺伝子をターゲットとした遺伝子組換えによる代謝工学を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特別研究員の産休の為、当該年度は3ヶ月のみの研究期間であったことから、研究実施期間が限られており、当初の予定から見るとやや遅れてしまっていると判断した。しかしながら、芳香族代謝経路における代謝物の解析など、少しずつ良い成果が得られつつあり、今後に向けて明るい材料も得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
【現在の進捗状況】で記載したとおり、研究期間が限られていたことから研究の進展状況はやや遅れているが、産休も終了し、これから研究のペースも戻ってくるものと思われる。成果としては徐々に良い結果が得られつつあり、今後も継続して実施していけば、現時点では大きな問題はないと判断している。
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