研究課題/領域番号 |
17F17417
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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研究分担者 |
PLUTA ROMAN 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 触媒反応 / 不斉反応 / 炭素-炭素結合 / 化学合成 |
研究実績の概要 |
バルクケミカルから高付加価値有用化合物を生み出す化学反応の開発は有機合成化学の至上命題であり、不斉触媒は立体化学も含んだ化学結合操作を最大効率で可能にする。本研究では、7-アザインドリンアミドを用いる不斉反応開発を継続的に展開している。初年度は、アミド型のエノラート前駆体を種々検討する中で、生成物に不斉2級アルコールユニットを賦与することができるα-ベンジルオキシ-7-アザインドリンアミドに着目し、効率的な触媒的エノラート発生と、続くN-Bocイミンへの不斉Mannich付加反応を進行させる有効な触媒系の開発に至った。得られる光学活性β-アミノ-α-オキシカルボン酸誘導体はタキソール側鎖の迅速合成に適用可能である。昨年度は、α-ベンジルオキシ-7-アザインドリンアミドの適用範囲の拡充を目指し、対応するアルドール反応を鋭意検討し、光学活性ジヒドロキシカルボン酸誘導体の高原子効率合成を目論んだ。広範な配位子検討を進める中で、不斉配位子の選択によりsyn/anti両ジアステレオマーを優先的にそれぞれ与える系を同定した。特筆すべきは求電子剤としてフルオロケトン類を適用可能な点であり、キラル3級アルコールを原子効率の高い合成手法で提供することができる。7-アザインドリンアミド部位は、反応後種々の官能基に変換可能であり、実践的合成化学における有効なキラルビルディングブロック合成法として利用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に新規不斉反応の開発に至っており、成果は一流国際雑誌に掲載されている。
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今後の研究の推進方策 |
ジアステレオ選択性に改善の余地が残されていることから、独自デザインに基づく不斉配位子の開発が必要であると考えている。2座のアルキル型リン配位子であるPh-BPEを原型に、リン上の置換基を種々改変した配位子を合成し、その金属錯体の触媒効率・立体選択性を精査し、上記有用生成物を与える実用的な反応の開発を進める。
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