研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病(AML)は老化に関連した造血器腫瘍の一つで、骨髄内微小環境(ニッチ)に維持される造血幹細胞に遺伝子変異が生じて白血病クローンへと悪性転換していくことが知られている。しかしながら、クローンの発症と進展および抗癌治療への耐性獲得における骨髄微小環境(ニッチ)の役割は明らかとなっていない。そこで本研究では、申請者らが確立した骨髄ヒト化マウス(Scotti, PNAS 2013)を用いて、白血病骨髄ニッチの樹立を試みた。まず初めに、確率したヒト化骨髄の造血維持能をヒト臍帯血由来造血幹細胞の移植に評価した。その結果、ヒト化骨髄はヒト造血分化を効率良く誘導し、ヒト造血幹細胞の自己複製能および細胞分裂静止期に維持できることを示した。この成果は、ヒト化骨髄がマウス骨髄に比べて、ヒト造血にとってより良いニッチ環境を提供していることを示唆するものであり、今後の白血病幹細胞研究により研究モデルとなりうることが期待される。なお、ここまでの成果は、Experimental hematologyにアクセプトとなっている。
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