研究実績の概要 |
炭素繊維強化プラスチックス(CFRP)は既に航空機等で実用化され、特にその優れた軽量特性が知られているが、その世界需要は年間10万トン程度であり、世界で年間1億台生産されている量産車を軽量化して温暖化対策に寄与したり電気自動車化を加速させるには量産性(年産10万トン→数千万トン)・低コスト性(10000円/kg→1000円/kg)・リサイクル性・複雑形状成形性など解決すべき課題が多い。 研究室では長年このテーマに取り組んできて、不連続炭素繊維テープ強化熱可塑性樹脂(CTT)を一つの解決策として提案している。Peng QU博士はCTTの特性の一つであるテープ長が弾性率と強度に及ぼす影響をPD理論により説明する取り組みを行った。具体的には、研究室保有の原料と製造装置を用いてテープ長やテープ厚の異なる種々のCTTを作成して破壊試験を行い、当初の目的である弾性率・強度のテープ長依存性を明らかにするとともに、その破壊プロセスをPD理論で説明した。 2017年4月に来日して着実に成果をあげ、その結果を国内と国外の学会で発表し、成果の一部は既に当該分野の著名雑誌(Composite Structures, Impact factor 4.101)に掲載され、続報も執筆中であり、2年間の滞在での成果としては優れたものと評価できる。
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