研究課題/領域番号 |
17F17711
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澁田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90401124)
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研究分担者 |
ZHANG LIANG 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-10-13 – 2020-03-31
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キーワード | 分子動力学 / ナノ結晶材料 / 粒界 / 機械特性 / EAMポテンシャル |
研究実績の概要 |
本研究では,分子動力学法シミュレーションを基に,ナノ結晶金属材料の粒界特性向上のための原子論的知見を得ることを目的としている.具体的にタービンブレードや原子炉など高温環境下で発生して材料強度低下の原因となる正四面体様転位(スタッキングフォルトテトラヘドラ,SFT)や空孔クラスターと粒界の相互作用を系統的に解析し,これらの効率的な除去方法を確立する.特にこれまであまり議論されてこなかった正四面体様転位や空孔クラスターどうしの相互作用やこれらが粒界形状・強度に及ぼす影響を考察し,俯瞰的な立場からナノ結晶金属材料の粒界特性向上のための原子論的知見を得ることを目指している.
平成30年度は,まず10万原子程度の中規模系においてSFTと粒界相互作用に関するシミュレーションを行い,コヒーレント双晶,非コヒーレント双晶それぞれのSFT及び空孔除去能力の違いについて詳細に検討を行った.また自己格子間原子(Self-interstitial atom, SIA)と空孔との相互作用,およびこれらと双晶との相互作用について詳細に検討し,SIA濃度と双晶の運動との相関関係を見出した.これらの知見をまとめ,査読付き英文雑誌にて公表した(Phys. Stat. Solid. B 255(2018)1800228).なおこの論文は発表号のback cover articleに選ばれ注目度の高い論文である.
さらに,原子間相互作用ポテンシャルの検証を詳細に行った.具体的には10種類のAl-EAMポテンシャルの力学特性の検証を行った.単結晶の力学特性のみならず多結晶体における粒界近傍の原子挙動について詳細に検討を行った.双晶方向のすべり障壁エネルギーの大小と多結晶体の塑性変形モードに相関があることを見出した.これらの知見をまとめ,査読付き英文雑誌にて公表した(Comp. Mater. Sci. 155(2019)421-433).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,今年度のうちに中規模系においてSFTと粒界相互作用に関するシミュレーションを行い,有益な知見を得ることができた.さらにナノ結晶材料の機械特性に関する原子間相互作用ポテンシャルの検証を詳細に検討し,有益な知見を得ることができた.これらの知見を2篇の査読付き英文論文にて公表するなど当初の計画通り順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度までに本研究計画の大部分を実行することができた.来年度は大規模系における不純物ー粒界相互作用に関する計算結果の整理を行うとともに,また研究期間全般にわたる研究総括を行う.得られた知見をまとめて,未発表部分を査読付き英文論文に投稿する予定である.
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