研究課題/領域番号 |
17F17755
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
陀安 一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)
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研究分担者 |
NITZSCHE KAI 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-10-13 – 2020-03-31
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キーワード | 河川生態学 / 水生昆虫 / 母岩 / 水域-陸域連関 / 非伝統的同位体 / マグネシウム / カルシウム / ストロンチウム |
研究実績の概要 |
2017年度は、まず地質図に基づき、石灰岩を集水域に持つ河川(石灰岩河川)と、花こう岩か砕屑堆積岩のみを集水域に持つ河川(非石灰岩河川)の上流域を調査地候補として設定した。2017年9月に10河川において予備サンプリングを行い、マグネシウムとストロンチウムの同位体比を測定し、河川水への石灰岩の影響を検討した。これらの予備サンプリングの結果、3つの石灰岩河川と3つの非石灰岩河川を調査地として選択し、2017年11月に河川の礫、水生昆虫、高次消費者(ハゼ科魚類やザリガニ)を採取した。試料は標準的手法により前処理を行い、マグネシウムとストロンチウムの同位体比を測定した。 その結果、石灰岩河川の水生昆虫やハゼ科魚類は非石灰岩河川に比べて有意に低いマグネシウム同位体比(δ26Mg値)を示し、石灰岩の影響は河川生物にも見られることがわかった。また、異なる摂食機能群(FFG)においてマグネシウム同位体比(δ26Mg値)が異なっており、これはこれらの生物がδ26Mgの異なる金属(餌)起源を持つか、生物のマグネシウム取り込みにおける同位体分別が起きているかを示す。ストロンチウム含量は一般的に水生昆虫においては低かったが、ストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr値)は両タイプの河川において異なっており、これも生物体に石灰岩の影響が見られることを示した。また、採取した生物のカルシウム同位体比や亜鉛同位体比分析用の前処理を行なったが、これらの分析は2018年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプリングを行い、それらの分析を行うことで研究が進んでいる。新年度も継続して研究を行うことで、所期の目的を達成できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、2017年度にサンプリングを行った河川において再びサンプリングを行い、季節によって傾向が異なるかどうか検討する。また、河川下流域では流域特性が変化し、人為影響がより強く現れると考えられるため、琵琶湖集水域河川のうち2河川の下流域においてもサンプリングを行い、上流域と変化があるかを検討する。
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