研究課題/領域番号 |
17F17757
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
安藤 文人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70193117)
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研究分担者 |
VILSLEV ANNETTE 早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 夏目漱石 / 受容 / 翻訳 / 世界文学 / 教養小説 / 村上春樹 |
研究実績の概要 |
2017年度においては、研究課題「翻訳と受容を通じて見る、夏目漱石作品の「世界文学」としての価値の探求」に関わり、以下のような成果を得た。 ・研究代表者安藤文人は、11月に開催された早稲田大学文学学術院多元文化学会におけるシンポジウム「グローバル化する日本文化」にディスカッサントとして参加、そのうえで概要を「多元文化」第7号(多元文化学会、2017年3月)に掲載した。ここでは、日本文学の海外における受容に翻訳活動が及ぼす影響について、具体的な事例に基づく報告と議論があった。他に、「世界文学」の概念にかかわる基本文献の収集と検討を行った。また関連する活動としては、文学学術院「総合人文科学研究センター」における新部門として「創作と翻訳の超領域的研究」を代表者として立ち上げ、研究交流の足場とした。 ・研究分担者Annette Vilslevは、3月に英国ニューカッスル大学で行われたワークショップに参加、また同月8日-9日に行われた学会'40 years with Murakami Haruki'において研究発表'Murakami on Soseki and Their Jpanese Coming-of-age Stories/Bildungsromanen’を行った。同発表は教養小説という観点から村上春樹作品への夏目漱石作品の影響を論じたものである。また、この学会に先だってデンマーク、コペンハーゲンにおいて、研究成果発表(出版)にかかわる打ち合わせを行った。上記学会における発表については、Routledge社より出版される論集に掲載される予定であり、編者との打ち合わせを本年4月に行った。 また、このような学会活動および出版準備と平行して、国内における資料収集および実地調査(東京、京都)を行っているおり、漱石作品の海外における受容に関する論考について継続的に執筆を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は当初の計画にそって順調に進展しているが、ここまでの成果を踏まえて、何点か計画に細かい修正をくわえる。こととなった。これは研究分担者のVilslevが、出版予定の論集に現在の研究テーマに基づく寄稿を求められたことによる。また、新たな研究発表の場として、日本文学の翻訳に対して後書きを求められている。さらに、デンマークで出版予定の論集についても分担執筆を依頼されており、これは漱石に関する本研究をデンマークにおいて発表する好機といえるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進については、大きな方向性(研究発表および研究者との交流、およびそこでなされた議論を踏まえて研究の精緻化と深化を図る。出版 予定の研究書の執筆を進める)において変更はないが、具体的な活動内容としては、5月にバーミンガム大学のDr Dan Vyleta上級講師を迎えてワークショップなど「世界文学」に関わる研究交流を行い、7月にオーストラリア、クイーンズ大学Jacqueline Berndt准教授日本近代文学と現代文学の関係について共同検討を行うなど追加、変更を行う。当初計画のとおり、共同研究者のVilslevは、9月にストックホルム大学で行われる日本文化に関するワークショップに参加する予定である。
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