研究課題/領域番号 |
17F17768
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
野海 正俊 神戸大学, 理学研究科, 教授 (80164672)
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研究分担者 |
ATAI FARROKH 神戸大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 量子可積分系 / 変形Calogero-Sutherland模型 / 超 Jack 多項式 |
研究実績の概要 |
(1) 微分系の量子可積分系の研究:変形 Calogero-Moser-Sutherland 模型に関して,超 Jack 多項式の直交関係式に関する昨年度の成果を,Atai, Hallnas, Langmann の共著論文として完成させ,出版することができた.今年度の主要な成果は,楕円 Calogero-Moser 模型の研究を推し進め,核函数の方法を用いて,固有状態を記述するアフィン Jack 多項式の積分表示の系統的な構成を可能にしたことである.この結果については現在論文を準備中である.また,非停留型の模型として Lame 及び Heun 方程式の検討を行い,級数表示および積分表示によって固有関数を構成した. (2) 差分系の量子可積分系の研究:変形 Macdonald-Ruijsenaars 模型の研究に関して,超 Macdonald 多項式の直交関係式をほぼ完全な形で確立することができ,論文を準備中である.またこの模型の自由ボゾンを用いた定式化についての検討を行った.A 型楕円 Ruijsenaars 模型に対しては,昨年度に引き続き,Macdonald 函数の p 変形を与える形式的固有函数の帰納的構成についての研究を行った.更にこの形式的固有函数と,最近提案された白石の非停留型 Ruijsenaars 函数との関係について,計算機を用いた予想の検証を行った.また BC 型の楕円 van Diejen 模型の8パラメータ族について,形式解の構成の研究に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微分版及び差分版の変形 Calogero-Sutherland 模型について,固有状態を記述する函数系の直交関係式の全体像を明らかにしたことは大きな成果であり,研究は順調に進展していると考える.一方で,非停留型の模型についての理解も深まり新しい方向性が見えてきたことは評価できると思う.
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今後の研究の推進方策 |
最近の新しい動向として,非停留型の楕円 Calogero-Sutherland 模型の一般の固有函数を Nakrasov 型分配函数として明示的に構成する方法が提案されている.これを踏まえて,微分系及び差分系の楕円量子可積分系について,停留型と非停留型の両方を一体として捉え,方程式論的側面と解の特殊函数的側面の両方から全体像を明らかにすることを目指す.
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