研究課題
本研究は、酸化亜鉛ナノ粒子とCs2[Mo6I8(OCOC2F5)6] (CMIF)クラスター化合物との会合体を、太陽電池の効率を向上させる透明な発光太陽集光器の開発に適用することを目的としている。これまでに、ITOガラス基板上にランダム形状を有する粒径3~6 nmのZnOコロイド溶液から厚さ100~200 nmの堆積層を作製し、その上にCMIFクラスターを電気泳動堆積(EPD)法またはスピンコーティング法で積層させた。これらの多層薄膜は、SEM、蛍光および透過光測定により評価した。断面SEM観察から、クラスター層は、堆積条件により、300 -1000 nmの膜厚であった。蛍光測定の結果、作製した膜はZnOの発光を示す540 nm付近およびモリブデンクラスターの発光を示す650 nm付近の両方に発光を示した。しかし、CMIF層の厚さはZnOの発光強度に直接影響を与え、CMIF層が厚いとZnOの強度が低下した。但し、UV-vis測定から、この多層膜がITOと同様な良好な光透過特性を示すことがわかった。量子収率(QY)測定から、クラスター層がEPD法により堆積された場合、QY値はわずかに高いことが見出されたが、これは層の厚さに起因するものと思われる。
3: やや遅れている
使用するナノリソグラフィ装置が別の場所に移管されたが、設置部屋にはN2供給システムがなく配管を依頼している。5月末までには設置が完了し使用可能との報告を受けている。
ZnOの発光信号を増加させるために、酸化マグネシウム化合物 (MgO)のドーピングを検討している。それと並行して、光トラッピングによる電力効率を改善するために、ナノリソグラフィプロセスを用いる。 パターンの種類、厚さ、ナノインプリントする層、または圧力とUV照射時間など、パラメータの最適化を検討する。最終的に、LSCの品質と効率を太陽電池でテストする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 学会・シンポジウム開催 (3件)
The Royal Society Open Science
巻: 6 ページ: 6(3)
10.1098/rsos.181647
Bulletin of the Chemical Society of Japan
巻: 91 ページ: 1763-1774
10.1246/bcsj.20180240