研究課題/領域番号 |
17F17810
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長谷川 真人 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50293973)
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研究分担者 |
HADZIHASANOVIC AMAR 京都大学, 数理解析研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 代数トポロジー / 高次元圏論 / 量子計算 / 圏論的量子力学 |
研究実績の概要 |
以下の成果を挙げた。 (1)フェルミオン型量子計算のための図式言語(fermionic ZW calculus)を導入し、この言語においてフェルミオン型量子計算の主要な物理ゲートを表現できることを示すとともに、この言語の等式理論の完全な公理化を与えた。この結果を論文にまとめ国際会議FSCD2018にて発表した。 (2)圏論的量子力学における図式言語について、これまで未解決であった純粋状態量子ビットに関する等式理論の完全な公理化を与えることに成功した。この結果を論文にまとめ国際会議LICS2018にて発表した。 (3)高次元圏論の中心的な課題のひとつである厳格化(strictification)について、表現可能なある種のポリ双圏(merge bicategories)の半厳格化定理を証明した。この結果を論文にまとめ専門誌に投稿し、採録が決まった。 (4)高次元圏の新しい組み合わせ的な表現である球状半順序集合(globular posets)の概念を導入し、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
期待された成果が順調に得られている。またその成果を論文にまとめ投稿し、すでにそのいくつかは査読を経て出版済み・採録決定済みである。さらに、積極的に結果の発信に努めており、他の研究者たちからも高評価を得ている。1月にはパリに招聘され、高次元圏論に関する最新の成果について講演し、専門家らからの注目を集めた。
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今後の研究の推進方策 |
高次元圏の厳格化(strictification)の問題について、これまでに得た結果のさらなる拡張を目指す。具体的には、 (1)非代数的な弱い高次元圏のモデルとしての表現可能な正規ポリグラフの研究、 (2)厳格なω圏より一般的な、代数的な高次元圏のモデルである「チャート付きω圏」の研究、および (3)表現可能な正規ポリグラフがチャート付きω圏に厳格化可能であることの証明、 に取り組む。最終目標は、チャート付きω圏が以下のような強い意味での「ホモトピー仮説」を満たすことを示すことである:任意のホモトピー型はあるチャート付きω圏の幾何学的実現と弱同値であり、そのホモトピー群チャート付きω圏の合成演算から代数的に計算できる。これらの結果を論文にまとめ、国際会議・学術誌等で発表していく。
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