研究課題/領域番号 |
17F17811
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
神門 正城 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, グループリーダー(定常) (50343942)
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研究分担者 |
GONZALEZ-IZQUIERDO BRUNO 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 高強度レーザー / レーザープラズマ / コヒーレント軟X線 / 極端紫外光 / 軟X線光学 |
研究実績の概要 |
本研究の主題である、高強度レーザーがプラズマ中につくる特異な電子分布からのコヒーレント極端紫外光放射光源のサイズ計測のための計測器を設計・製作した。本装置は、発生点の像を、非周期型の球面鏡でYAG(Ce)シンチレータ上に集光し、その可視発光を光学対物レンズでカメラ上に集光しリアルタイムで計測しようというものである。今年度は、光学シミュレーションソフトウェアZEMAXを用いて収差の低減を図り、サブマイクロメートルの分解能を達成できることを確かめた。また、検討により、すべての計測を真空中で行う方がよいことが分かり、真空中に冷却を行いカメラを設置する予定である。この設計を基にして必要な部品の手配を行なった。これにより、従来は実験終了後、真空中から取り出さなければ得られなかったサイズの情報がシングルショットで行えることができ、特異な電子分布の機構解明に貢献すると考えられる。 また、H29年度に行った予備実験により判明した、迷光により光学阻止フィルターが損傷してしまう問題については、原因の調査を行い、レーザーの集光ミラーに周期的な研磨痕が存在し、これが回折格子のように働くことで集光点周りに散乱もしくは回折光が多くあったことが原因の1つとわかった。このため、レーザー集光ミラーを交換し、散乱光や回折光が低減していることをアライメントレーザー光で確認した。また迷光により光学阻止フィルターが破損してしまう問題については、回転ホイール型の交換型フィルターを設計・製作し、ステッピングモータとギア駆動により予定通り動作することを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、非周期型球面鏡を用いた、極端紫外光のサイズ計測光学系を光学計算ソフトウェアZEMAXを用いて行い、サブマイクロメートルの分解能を持つことを確かめた。これを基にして物品の手配を行っており、H30年度に計画している計測実験が順調に行える状況である。 また、当初から懸念していた迷光の問題についてはレーザーの集光ミラーの品質が悪く、集光点周りに散乱もしくは回折光が多くあったことが原因の1つとわかったため、集光ミラーを交換し、散乱光や回折光が低減していることをアライメントレーザー光で確認した。また迷光により極端紫外光計測ラインに導入する光学阻止フィルターが破損する問題については、交換型フィルターを設計・製作し、予定通り動くことを確認できている。 分解能は200 nmが達成はできていないが、サブマイクロメートルという目標値は達成できており、また、課題についても適切に対処できており、おおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
極端紫外光の発生点(カスプ電子分布)のサイズ計測については、開発したイメージングシステムを導入することで本年7~8月に計画されている2週間×2回の実験により計測を試みる。迷光対策については、集光ミラーの交換と交換型フィルターシステムの導入により低減されると期待されるが、実際の実験において性能を確かめる。さらに迷光が問題となるようであれば、極端紫外光の球面ミラーを一部ブロックしたり、ガスジェット高さを変えるなどの対策を検討する。極端紫外光の分解能をさらに上げる方法については、極端紫外光をシュバルツシルト光学系などを用いて直接顕微計測する方法を検討する。
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