研究課題/領域番号 |
17F17820
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
李 海文 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 准教授 (40400410)
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研究分担者 |
WANG HAN 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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キーワード | 水素化物 / 水素貯蔵 |
研究実績の概要 |
Mg(NH2)2等の窒素系およびLiBH4等のホウ素系錯体型水素化物は5質量%以上の水素を含有するため、高密度水素貯蔵材料として期待されている。実用化には、水素放出温度が高く、再水素化が進行しにくい等の課題がある。本研究では、Mg(NH2)2-LiH等のように、水素化物複合システムを設計することによって、水素吸蔵放出反応の熱力学的・速度論的特性の飛躍的改善を目指している。本年度では、多原子陰イオンを有するMg2NiH4やMg2CoH5に着目して、それらとM(NH2)xの複合システムの作製を中心的に実施した。Mg2NiH4とMg2CoH5はMgH2と化学量論比のNiやCo粉末を乳鉢により混合した後、アルゴン雰囲気中でのボールミリング処理を行い、続いて350℃で1MPa水素中での水素化処理により合成した。粉末X線測定結果から、得られた試料は単相に近い純度の高いMg2NiH4とMg2CoH5であることが確認された。これらのMg2NiH4とMg2CoH5を用いて、M(NH2)x(M= Li, Mg等)との複合材料Mg2NiH4-M(NH2)x やMg2CoH5-M(NH2)xをアルゴン雰囲気中でのボールミリング処理より作製した。ボールミリング処理過程において、Mg2NiH4やMg2CoH5はM(NH2)xとの化学反応が進行せず、出発原料の混合物であることが粉末X線測定結果より明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、水素化物複合システムの作製に必要とされるMg2NiH4とMg2CoH5の単相合成に成功されており、Mg2NiH4-M(NH2)x やMg2CoH5-M(NH2)x等の複合材料も予定通り合成できた。そのため、本年度の研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、合成したMg2NiH4-M(NH2)x やMg2CoH5-M(NH2)x等の複合材料の熱力学的安定性や水素放出・再吸蔵反応の特性を系統的に評価する。水素放出・再吸蔵の過程を詳細に評価解析することによって、反応メカニズムの解明および水素放出・再吸蔵反応の支配因子の抽出を行う。さらに、水素化物複合システムの最適化や触媒の開発等により水素放出・再吸蔵反応の熱力学的・速度論的特性の飛躍的改善を狙う。
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