本研究では、バイオマスのガス化過程における詳細な反応挙動を、実験ならびに理論的に解明した。また、炉内への高温水蒸気添加によるガス化反応への影響も検討した。具体的には、熱天秤およびガス化炉として最も簡易な構造である充填層型ガス化炉を用い、木質ペレット、木質チップ等のガス化実験を行った。熱天秤実験では、原料そのものの昇温条件下での質量減少の計測、バイオマスチャーについては等温条件でのガス化挙動の定量化・モデル化を行った。充填層ガス実験では、定常状態下での炉内生成ガス組成の計測等を実施した。 主な結果として、熱天秤実験からは、バイオマスの基礎的な総括およびチャーガス化特性をモデル化することができた。充填層バイオマスガス化実験では、自立連続ガス化実験を遂行することができ、生成するガス組成の定量化とガス化ガスの発熱量や冷ガス効率等のガス化特性を明らかにした。その他、アップドラフト条件とダウンドラフト条件との比較や木質ペレットとチップのガス化特性の比較も実施した。最終的に、得られたガス化実験の結果を理論的に考察するため、素反応速度論を用いたガス化炉内の反応解析とガス化反応機構の解明を行った。数値解析は、気相の素反応のみならず、主要な固気ガス化反応の素反応も組み入れて計算した。さらに、最もガス化特性が良い条件については、ガス化炉に設置してあるサンプリングポートから高温水蒸気(300℃)を供給し、タール・すすの抑制実験も試みた。また、素反応速度論解析も用いて、高温水蒸気供給によるタール・すす抑制機構についても、定性的ではあるが考察した。
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