研究課題/領域番号 |
17F17908
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
渡辺 幸三 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80634435)
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研究分担者 |
GAMBOA MENDEZ MARIBET ARIANA 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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キーワード | 河川水生昆虫 / RNAseq / 次世代シークエンサー / 遺伝子発現 / 気候変動 |
研究実績の概要 |
【河川底生動物のフィールド採取】日本列島の南北の気候勾配に沿った4地域(札幌,仙台,岐阜,松山)の23河川地点において,計47種のカワゲラの幼虫標本を採取した。サンプリングはキックネット法で行い,採取したサンプルはRNAlaterに保存して実験室に持ち帰った。調査を行った23地点において気温・水温・流速・水深・積雪深などの環境データも取得した。実験室に持ち帰ったサンプルは実態顕微鏡下で種を同定した。遺伝子解析は,気候勾配に沿った遺伝子発現パターンを比較を行うために,日本広域の4地域から共通して採取された7種を対象にして実施することになった。
【ゲノムワイド遺伝子発現解析】採取したカワゲラ標本から個体ごとにRNAを抽出してRNA-seq解析にかけるライブラリーを作成した。まず,採取試料をペッセルですりつぶして抽出したRNAを逆転写でcDNAに変換した。その後,個体ごとの遺伝子発現を次世代シークエンシング解析をするために,cDNAを制限酵素で断片化し,その 3‘と5’の両末端に各個体の認識タグ配列コードを含む約50塩基長のアダプター配列を連結(ライゲーション)した。この作成されたライブラリーは次年度初頭に次世代シークエンサーで解析される見通しである。また,RNAseqデータが得られた後のアライメントを行う際のゲノム配列の参照データを取得するために,同じカワゲラ種のゲノムシークエンシングデータを次世代シークエンサーで取得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,サンプルの収集とRNAseq解析のライブラリー作成を完成できた。また,バイオインフォマティクス解析の際に必要になる参照ゲノム配列データも取得することができた。概ね順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンシング解析で得られたデータをパイプラインを用いバイオインフォマティクス解析を行う。そして,ゲノム中で気候環境勾配に沿ってmRNAのコピー数(発現の強さ)が相対的に高まった(低下した)遺伝子を気候環境に適応的な遺伝子として同定する。バイオインフォマティクス解析に必要なコンピューターリソースはドイツの共同研究機関にも協力を得て,計算時間の短縮に努める。
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