研究分担者 |
笹森 貴裕 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70362390)
水畑 吉行 京都大学, 化学研究所, 助教 (30437264)
松田 一成 京都大学, 化学研究所, 准教授 (40311435)
永瀬 茂 京都大学, 分子科学研究所・理論・計算分子科学研究領域, 教授 (30134901)
古川 行夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50156965)
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研究概要 |
本研究は、新規な物性・機能の発現を指向し、速度論的に安定化された種々の新規な高周期元素不飽和化合物を安定な化合物として合成・単離し、その物性を解明することを目的としている。 これまでの研究結果から、高周期14族元素不飽和結合化学種は、π共役系として十分機能しうることが判ってきた。そこで本年度は、含高周期14族元素不飽和結合化学種として、ケイ素原子を含む芳香族化合物であるシラベンゼンに注目し、二つのシラベンゼン環をケイ素原子のパラ位同士で連結した、1,1'-ジシラビフェニルの合成とその性質解明を検討した。最終的に、立体保護基として2,4,6-[CH(SiMe3)2]3-C6H2(Tbt)基を用いることで、1,1'-ビス(Tbt)-1,1'-ジシラ-4,4'-ビフェニル(1)を安定な無色結晶として得ることに成功した。ジシラビフェニル1の構造は各種スペクトル測定およびX線結晶構造解析により決定した。特に、1の紫外可視吸収スペクトルにおいて、その最長吸収極大波長はシラベンゼンのものよりも長波長側であり、またモル吸光係数は約6倍であったことは、有効なπ共役拡張を示唆しており、興味深い現象である。さらに、ジシラビフェニル1は弱いながらの蛍光特性を有することがわかり、炭素のみからなるビフェニルが蛍光を示さないこととは対照的な結果が得られ、ケイ素の特性が反映された結果であると考えられる。
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