研究課題
生命活動の化学的理解を究極の目的として、本年度は下記の3体制で、蛋白質と低分子化合物の相互作用研究を行った。1.受容体・リガンドの効率的検出:化合物アレイの最適化を目指して、化合物を基板に固定化するリンカー部分の鎖長、親水性、およびリンカーと基板をつなぐ結合様式を検討した。種々の蛋白質との結合実験の結果、ポリエーテル5ユニットからなるリンカーが最適であることを明らかにした。一方、分裂酵母の全ORFの検出用タグ(FLAG-His_6)のついた融合蛋白質をそれぞれ発現させ、蛋白質ライブラリーとして低分子との結合実験に提供できるように、精製を行った。2.蛋白質と低分子化合物の微視的相互作用解析:X線結晶構造解析法による蛋白質と低分子化合物の微視的相互作用解析のために、いくつかの蛋白質について結晶化の可能性を検討した。まず、蛋白質脱リン酸化酵素VHRならびにVHRとその活性阻害化合物であるRK-682との共結晶化を行い、基準となるVHRの結晶(150xlOOx50μm)を得た。現在、VHRとRK-682の共結晶化条件を検討中である。3.蛋白質・リガンド相互作用の実証:ホヤから単離されたマクロライド系抗腫瘍物質iejimalide類(IEJLs)の細胞内標的分子を探索した。その結果、V-ATPaseが標的分子であることを見出した。さらに結合に関与するアミノ酸残基の一つとしてV_0複合体を形成しているcサブユニットのThr32を同定した。Thr32をIleに変異したcサブユニットをもった酵母は細胞レベル、酵素レベルともにIEJLsに対し耐性を示した。さらに、興味深い生理活性を示す低分子(lucilactaene、EI-1941-1など)の標的蛋白質を解析するためのプローブを作成することを目的として、化合物の全合成を達成した。
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