研究課題/領域番号 |
17GS0311
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長沢 寛道 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (60134508)
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研究分担者 |
小暮 敏博 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (50282728)
都木 靖彰 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (10212002)
作田 庄平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (80192087)
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キーワード | バイオミネラリゼーション / 石灰化 / 有機基質 / 炭酸カルシウム / 結晶成長 / 生理活性 / 自己組織化 / 生理学 |
研究概要 |
以下の結果を得た。 1.円石藻のココリスは環状構造をなしているが、Pleurochrysis carteraeのココリスは20個程度のカルサイトでできたナノ結晶から出来ている。そのそれぞれの結晶方位に規則性があることを電子後方散乱回折(EBSD)によってはじめて明らかにした。また、アコヤ貝の真珠層形成の初期過程を透過電子顕微鏡で詳細に解析し、結晶多形(アラゴナイト)や結晶方位が稜柱層を覆う有機基質によって制御されていることを明らかにした。今年度購入した収束イオンビーム試料作製装置を用いてさまざまな試料の薄片を作製し、イワガキのベリジャー幼生の初期石灰化層がアラゴナイトで形成されること、またin vitroでアコヤガイの真珠層由来の有機基質を加えて形成した球状炭酸カルシウム結晶の内部構造や成長機構を明らかにした。 2.in vitroの炭酸カルシウム結晶形成阻害検定法を利用して、アメリカザリガニの外骨格から2種類の可溶性基質タンパク質Casp-1, -2を、アコヤガイの真珠層から2種類の不溶性タンパク質Pif80およびPif97を、アコヤガイの稜柱層からキチンを得た。また、この検定系を燐酸カルシウム系に適用することによってリン酸カルシウム結晶形成検定法を考案し、これを用いてキンギョの鱗から結晶形成を促進する分子量約2万のタンパク質および結晶形成を阻害する糖タンパク質を得て、現在構造解析中である。また、ニジマスの耳石からアラゴナイト形成に重要と考えられるペプチドグリカンOtolican64を同定した。 3.アメリカザリガニの外骨格基質ペプチドであるCAP-1(78アミノ酸残基)について、いくつかの欠落ペプチドを調製し、それらの機能を調べることによって分子の中央部分が不溶性多糖であるキチンと結合し、C末端部の酸性アミノ酸に富む配列が炭酸カルシウムとの結合に重要であることを明らかにした。
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