研究課題
骨免疫学の創成と確立をめざして、骨代謝と免疫系の相互作用を制御する遺伝子の同定と機能解析を行った。【破骨細胞のプロテオーム解析と分化機構の解明】骨吸収細胞である破骨細胞分化のメカニズムを解明するために、破骨細胞分化因子RANKLの刺激によって引き起こされるタンパク発現の変化を種々のプロテオーム解析法を用いて検討し、トランスクリプトームの結果と合わせで解析した。LC-MS法によってRANKL刺激後に500程度のタンパクが、2次元電気泳動(2D-)MS/MSによっても700程度のタンパクが発現変化の大きいタンパクとして同定され、詳細な解析を続けている。また、破骨細胞で重要な転写因子NFATc1結合タンパク質のプロテオーム解析を行い、同定された数種類のタンパクの機能解析をsiRNAなどを用いて行った。分化過程で発現増強されるNFATc1遺伝子やOSCAR遺伝子の制御機構を詳細に調べ、シグナルの自己増幅が不可逆的な細胞の分化を可能とする機構を解明した。【マウス発生工学的手法を用いた破骨細胞分化必須遺伝子の同定】破骨細胞欠損マウスをレシピエントとした造血幹細胞移植法および破骨細胞欠損マウス由来胚盤胞杯へのノックアウトES細胞注入法を開発した。この方法を用いて、ノックアウトマウスが胎性致死となるNFATc1遺伝子の破骨細胞分化における必須性を証明した。【骨芽細胞分化制御遺伝子の機能解析】NFATファミリー転写因子のノックアウトマウスを用いて、NFATが骨形成において果たす役割を解析した。この結果、NFATが骨芽細胞においてOsterixと呼ばれる他の転写因子と協調して骨形成を制御することを解明した。T細胞で発見された転写因子NFATが、骨吸収でも骨形成でも重要な役割を担うことが解明され、新たな骨免疫制御機構が明らかになった。
すべて 2005
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