研究分担者 |
田中 歩 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10197402)
野口 巧 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (60241246)
村上 明男 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 准教授 (50304134)
関根 靖彦 立教大学, 理学部, 准教授 (80222074)
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研究概要 |
研究の最終年に当たり、班員相互の連携の下、研究進展を図った。今年度の成果としての特記事項を記す。 (1)酸素発生に必須のマンガンクラスターのリガンドとなりうる光化学系(PS)II CP43の354番目のアミノ酸を置換した結果、それが確かにリガンドであること、そのMn原子に水が配意することを見出した。(三室)(2) 分解系から放出されるプロトンを、FTIR法を用いて検出する手法を新たに開発し、反応サイクルにおけるプロトン放出過程を調べた。その結果、基質水分子からのプロトン放出数は、S_0→S_1,S_1→S_2,S_2→S_3,S_3→S_0遷移に対して1:0:1:2であることが示された。(野口)(3)ジビニル型クロロフィルを持つSynechocystis PCC6803は強光下では光傷害のため生育することはできない。しかし、この種にProchlorococcusのD1タンパク質を導入すると強光耐性が獲得され、また、Synechocystis PCC6803のD1タンパク質の2アミノ酸をProchlorococcus型に改変しても、同様の光耐性が獲得されることを見出した。(田中)(4)渦鞭毛藻Alexandrium tamarenseについて、PSIIタンパク質をコードするpsbSAの動態を解析した結果、複数の変異型psbAが共存することを見出した。タンパク質全長をコードできないものの,通常型同様に転写/RNA編集されることから葉緑体の機能に関与することが示唆された。(村上)(5)遺伝子の核移行要因の探索について、葉緑体移行シグナルのバクテリア細胞での分解にはジンクメタロプロテアーゼが深く関与していることを示した。真核細胞の成立の過程で、このプロテアーゼ活性が細胞質中から消失したことが、葉緑体移行シグナルの獲得を促したと予想される。(関根) 総合的な研究成果は別に取り纏める。
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