研究課題
本研究では、再生医学を現実のものにするために、幹細胞そのものの研究から、幹細胞からいかに形と機能をもつ臓器・組織を再生・構築していくか-へと研究を進展させることを目的にしている。そのために、どのようにして細胞と細胞はお互いを認識しながら座標と位置情報を形成して三次元の構造をもつ臓器・組織を形成するのか、その分子システムを明らかにする。具体的には、全身に幹細胞を保持していることによって高い再生能力を示すプラナリアを用いて、幹細胞から単なる細胞塊ではなく、形と機能をもった脳を再生する分子システムを解き明かし、その研究を発展させて、マウスES細胞から形をもつ脳をin vitroで作り出すことをめざす。本年度においては、(1)プラナリアにおける幹細胞システムの分子基盤の中核となる遺伝子を明らかにすることに成功した。(2)幹細胞から脳を形成する場所を規定しているnou-darake遺伝子とそのファミリー遺伝子が、脳の形成場所を規定しているだけでなく、もっとダイナミックに頭部全体の形なども含めてトータルに制御しており、その下流遺伝子の候補をみつけることに成功した。(3)マウスES細胞のニワトリ胚での挙動を調べることにより、プラナリアの全能性幹細胞と同じように位置情報に反応する性質をもつことを示唆することに成功した。
すべて 2005
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Zoological Science 22
ページ: 1113-1122
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