研究課題
本年度においては、プラナリアの脳を作る位置情報システムについてさらに詳細な解析をすすめるとともに、それらの情報を活かしてマウスにおける位置情報システムの解析とマウスES細胞から脳をつくることを開始した。具体的には、プラナリアの位置情報システムについては、(1)切断によって、後方でのWntPの発現が位置情報をつくる分化細胞でスウィッチONになることが座標の極性をつくるプライマリーなシグナルとなる、(2)WntPがONとなるためにはPatchedの活性が不可欠である、(3)それらの極性に応じて頭側ではERKシグナルが尾側ではb-cateninシグナリルが活性化され、(4)nou-darakeファミリー遺伝子がERKシグナルの強度を調整して体の前後軸に応じた領域を形成する、(5)頭部領域内の後方やWntAがONになることで脳の前後軸の座標がつくられること--を明にした。マウスにおしても、位置情報を作る細胞と幹細胞そのものの応答能の関係を探るために、マウスES細胞からいろいろな分化状態な幹細胞をつくり、これを異なる発生段階のニワトリ胚に入れて脳の形成能を調べた。その結果、stage1のニワトリ胚にはES細胞そのものを、stage9のニワトリ胚にはMEDII培地で7-9日間培養しだものがうまくホストの環境に馴染んで脳形成に参加することを見出した。それ以外の組み合わせにおいてはガン形成がみられた。特に、MEDII培地で7-9日間培養した細胞が、ホスト胚の中でin vivoの脳の立体構造に近い構造が形成されており、最終年度に向けて大きな成果が得られた。
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