研究課題
平成19年度は網羅的代謝解析技術と大量データ処理に資する情報処理技術を駆使して効率的なガス分子の受容システムの探索を進めた。ヒト赤血球が低酸素を感知して解糖系の活性化を行う機構として律速酵素PFK、GAPDHが活性化してglucoseの酸化が起こること、この際Glucose 6-Pが低下することによりpentose phosphate shuntに抑制がかかることをCE-MSにより明らかにした。また上記の情報技術を用いて探索したストレス誘導性ガスであるCOの新規受容体候補分子としてcystathionine β-synthaseを同定し、acetaminophen肝障害におけるCO増加、培養細胞でのCO処理によって本酵素が阻害されること、この阻害によってmethionine cycleの代謝流速が増加することにより各種の蛋白質のarginine残基にメチル化が促進することが明らかになった。さらにメチル化を受けた蛋白質を質量分析により同定し、複数の解糖系酵素が探索された。一方、CO処理を受けた細胞はglucose利用が解糖系からpentose phosphate shuntに変化することが13C-glucoseを用いた網羅的代謝解析により解明された。低酸素時にはHIF-1を介したglucose transporterの発現増加、糖系酵素発現増加が起こり乳酸の増加が起こるが、低酸素でCO生成酵素であるheme oxygenase-1が発現するとpentose phosphate shuntへの代謝シフトが起こることが癌組織などで起こることが明らかになった。酸素センサーと目されるcytochrome oxidaseのプロトン駆出機構を詳細に検討し、プロトン駆出自身がミトコンドリアの量的制御に関わる可能性を示唆する新知見を得たため、引き続き検討を要する。
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