研究実績の概要 |
高等学校で用いられる検定教科書については, 生物・化学・物理, そして歴史分野様々な科目で用いる用語の更新, 或いは削減の検討がなされてきている。一方で「地理」や「地学」分野での検討は遅れており, 地球惑星科学として共通する事項の多い両領域を合わせての検討作業を行う必要がある。そこで, 高等学校教科書の「地理A」「地理B」の自然地理分野, および「地学」, 「地学基礎」, 「科学と人間生活」の地学分野の教科書の記載について, 網羅的に用語の用例や定義の比較および, 説明表記の検討を行い, 適切な記載案を提示することを目的とした。 対象とした教科書は平成29年度版の高等学校教科書の「地理A」(6冊), 「地理B」(3冊), および「地学」(2冊), 「地学基礎」(5冊), 「科学と人間生活」(5冊)である。それらのなかで自然地理学, 地球物理学, 地質学に関連する, プレートテクトニクス関連, 造山運動・造山帯関連, 地震関連, 平野関連, 斜面プロセス関連, 大気大循環関連, 気候区分関連について比較検討を行った。 結果として, 地理教育, 地学教育それぞれの中でも, 両者の間でも異なる用語が使われていることが分かった。さらに, 現在は使われていない用語が用いられていたり, 使われていない概念, あるいは適切でない表記が検定教科書に記載されていたりすることが分かった。今後は現在の科学界の知見を高校教育に反映させて, よりふさわしい用語や説明を検討・採用していく必要がある。
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