メダカ(Oryzias latipes)は脊椎動物としてヒトと同じボディプランを有しており、モデル生物としてライフサイエンス研究に不可欠である。しかし、メダカの組織学は未だ整備されておらず、成書も少ない。本課題ではメダカの全身組織標本を作製し、バーチャルスライド化することで高解像度の電子情報をインターネットを利用して閲覧するシステムを開発することを目的とした。 実験は、北里大学医学部動物実験委員会の審査と医学部長の承認を得て実施した(承認番号 : 2016-047)。メダカは実験系統Cabを使用して、孵化2週~16週(雌雄)の30個体を用い、苦痛を与えずに安楽死させ、Davidson氏液で10日間固定し、常法に従ってパラフィン包埋した。パラフィン包埋した矢状面、冠状面の試料は滑走式ミクロトームを使って、厚さ5μmの連続した全身組織標本を1個体につき300~500枚作製した。作製した全身組織標本は、HE染色などを施し、光学顕微鏡下で撮影して画像化およびデジタル化した。 本課題であるメダカ全身組織バーチャルスライドをもとに、疾患メダカの組織学的な画像による討論を海外の研究者と行い、その意義と重要性について再確認した。 今回得られた結果については期待以上のものがあったことから、基礎医学分野の研究だけでなく、理科教材としても極めて有意義であるため、第67回日本理科教育学会(平成29年8月5日から6日、福岡教育大学)および第102回日本生物教育学会(平成30年1月6日から7日、熊本大学)において発表した。
|