岡山県は、全国一位の清水白桃の生産地である。しかし、生産者の高齢化・後継者不足により廃業する桃農家が増加している。清水白桃は大玉であり表面が柔らかい。その収穫には、手で桃を優しく把持しながら円周方向に回転させて枝から桃をねじりとる熟練した技術が要求される。一方、熟練しない者では桃の収穫ができない。なぜなら、この絶妙な力加減ができず桃を強く把持してしまうからである。その結果、桃の表面が変色し指の跡が残る。変色した桃は見栄えが悪く売り物にはならないため、廃棄処分となる。そこで、ベテラン生産者の手の動作を模倣したロボットハンドを開発した。本研究の成果を下記に記す。 1. 開発したロボットハンドについて ロボットハンドは、3指とした。ハンドを3D-CADにて設計し、そのデータをもとに3Dプリンタで製造するラピッドプロトタイピングにより、軽量化と低コスト化を図った。各指関節にはベローズアクチュエータを組み込み、ベローズ圧力を指先に設置した把持力センサーの値に基づいて、リアルタイム制御することにより、桃を優しく把持することを可能とする。 2. ロボットハンドの性能について ロボットハンドの把持力制御によって収穫が可能であるが、リンクの突出部が対象物に接触する場合があった。したがって、指形状や取付け角度の改善が必要である。 3. 今後の予定 今後も桃農家と連携して、ロボットハンドの構造・性能や使い勝手等を改善していく予定である。
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