1) 研究の対象と目的 本研究の対象は足尾銅山の「通洞選鉱所」とその一次史料である。「通洞選鉱所」は足尾銅山の主要拠点の一つである通洞地区にあった選鉱所である。 本研究の目的は一次史料を中心とする文献調査により通洞選鉱所と日本および世界の鉱山技術との結びつきの歴史を明らかにし、選鉱作業の中で行われた環境対策の事例を示すことである。 2) 研究の方法 調査の方法としては次の4つのステップを踏んだ。第1に、通洞選鉱所に関する既往の研究や調査結果などから、建造と技術導入の経緯を把握した。第2に、一次史料が所蔵されている古河の足尾事業所において、史料の調査を進めた。第3に、第1の手順で把握した内容と一次史料で記載されている事実関係を照らし合わせながら、技術導入および環境対策に関して重要な記載部分を捉え、写真等による記録を行った。第4として、記録をもとに上述した目的にそって調査結果をまとめた。 3) 研究成果 研究を進めた結果、通洞選鉱所の創業年代と各関連施設場所を特定できた。また、技術導入とそれに伴う施設の変容の詳細および環境対策施設を明らかにできた。さらに、現在の通洞選鉱所の施設の残存状況との位置関係も確認できた。
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