研究実績の概要 |
本研究はサブミクロン粒子の透過電子顕微鏡試料作製にガラスキャピラリーを用いることによる試料作製技術の開発を目的とした。サブミクロン領域約0.5~1.0μm程の粒子(金属, セラミックス)に化学修飾, 機能性を付加した場合など微小領域観察には透過電子顕微鏡像が有効であるが透過電子顕微鏡試料作製においてイオン研磨装置では作製し難い大きさ, 形状であることが経験的に知られている。 具体的にこの研究ではガラスキャピラリーを用いることでディンプルグラインダー研磨, 精密イオンポリッシング装置を用いて粒子試料を薄片化する技術を開発した。イオン研磨可能な状態にまで機械加工を施す場合, ガラスキャピラリーを用いることにより, 円環状に硬い素材のサポートができることによりキャピラリー内部の粒子の素材(硬さ)に大きく影響されることなく均一に薄く加工(ディンプリング)が可能となった。機械加工の最適な条件はガラスキャピラリーの内径をΦ0.1mm以下にすることで実現できた。機械加工(ディンプリング)後の工程は精密イオンポリッシングであり, イオンビームモードをシングルまたはダブルのモジュレーション(ビーム入射方向)をそれぞれ検討したが広域観察ができる条件はシングルモードが最適であった。そしてこのイオンビームを入射する方向はキャピラリー中の粒子の分散, 凝集状態により入射方向を変更することが求められるがキャピラリーは円環状であるため全方位からの入射選択が可能になることで薄片化させる粒子選択範囲も拡がることになり, 結果, TEM観察領域を増大させることに成功した。
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