近年、真菌感染症の原因菌は多様化してきており、十分とは言えない種類の抗真菌薬を適切に使用することが望まれる。また重症敗血症患者では分布容積の増大などにより薬物動態が変動するが。本研究では重症敗血症患者におけるミカファンギン(MCFG)のPK/PDパラメータ算出を目的とし、まずMCFG血中濃度測定の簡便な定量法を確立した。 測定機器はHPLC、検出器は蛍光検出器を用いた。MCFGの検量線は0.1~25μg/mLの範囲で良好な直線性を示し、QCとして設定した0.25μg/mL、10μg/mL、25μg/mLを用いて日内変動を検討したところ、それぞれの変動計数は0.8、0.4、1.2と良好な結果であった。また異なる血清検体を用いて選択性を検討したところ内標準物質とMCFGのピークは良好に分離されていた。そのため、本方法は実用に足りうる測定法であることが示された。 現在は重症敗血症患者におけるMCFGのPPKパラメータを構築する計画を検討中である。共変量としてはSOFAスコアや肝機能を考慮する。次に培養検査により発育した真菌のMICを測定し、有効性と比較してPK/PDパラメータを構築する。本研究によりMCFGの有効性を最大限に得るための投与方法を確立できることが期待される。
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