研究課題/領域番号 |
17H00732
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
本位田 真一 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (70332153)
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研究分担者 |
胡 振江 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (50292769)
鄭 顕志 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (40434295)
吉岡 信和 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (20390601)
石川 冬樹 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (50455193)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 実行時モデル / 自己適応ソフトウェア |
研究実績の概要 |
システムは実世界で起こる多様な環境変化にさらされる.実行中における実世界の環境変化にも迅速かつ柔軟に耐え,可用性,応答性,セキュリティ,頑健性といった多種多様な品質を維持するには,実行時の情報を活用した自動運用が不可欠となる.自動運用可能なソフトウェアの開発支援のために,開発時に使われるモデルを実行時にも保持し,実行中の情報を反映したモデル上でシステム構成変更を決定する実行時モデリング技術が発展してきている.しかし従来の実行時モデルフレームワークは単一観点のモデルしか扱えず,多種多様な品質を同時に維持することができなかった.そこで本研究では,複数の観点のモデルを協調して扱う実行時モデリング技術を確立し,実行中の環境変化に対して複数の品質維持を可能とするフレームワークを開発する. 平成29年度は,まず2つの品質観点を対象として2つのビューモデル協調のためのフレームワークを試作した.具体的には,Twitterの事例を参考に,急激なユーザリクエスト増加に対して応答性と可用性という2つの品質維持を行うクラウドベースWebアプリケーションを例題として,要素技術である[実施項目1]2ビュー実行時モデルによるシステム管理技術と[実施項目2]協調プランニング技術を開発した.その要素技術を組み込んだ2ビューモデル対応の[実施項目3]実行時モデルフレームワーク開発は当初は平成29年度内に行う予定であったが,要素技術のさらなる洗練化のために実施項目1,2を当初より4ヶ月延期したことに伴い,平成30年からの開始となるよう計画変更を行った.しかしながら,その変更された計画に従い,実施項目3も平成30年7月にその初期フレームワークの開発を完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年12月,国際会議GRACE国際シンポジウムにおいて,2ビュー協調自己適応技術に関する研究発表を行い,ソフトウェア工学分野の著名研究者と議論を行った.その結果得られた手法改善のための有益なコメントに基づき手法の改善を行わなければ十分な品質改善が望めず研究目的を達成できないため,2ビュー協調自己適応技術構築を延長する必要が生じ,当初の平成29年12月より延長し,平成30年3月まで行うこととした.計画は変更となったが,計画変更により要素技術の確立という当初の大きな目標は達成できており,概ね順調に研究は進展している.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,主に2ビューモデルを対象とした評価実験と,その実験結果をベースにした要素技術の洗練化,さらにはNビューモデルへの拡張を行う予定である.平成29年度より繰越となった[実施項目3]2ビューフレームワークの開発を平成30年度に行うこととなったが,要素技術の洗練化を先立って行えたため,当初平成30年度に予定していた要素技術の洗練家は短縮できることが予想される.
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