「文字」は我々の文化的活動やコミュニケーションを支える最重要メディアである.本課題では,「言語であり画像でもある」という文字の二面性に注目しながら,文字の持つ多様な機能の本質を総合的に解析する新分野「文字科学」を推進する予定であった.特にこれまで注目されることのなかった文字の4 機能(周囲の明確化,知識・意味伝達,雰囲気伝達,可読性維持)について,広汎で挑戦的かつ世界にも類例のない基礎的研究群を実施する予定であった. こうした予定であったところ,本課題での実施内容を含んだ基盤S課題「機械可読時代における文字科学の創成と応用展開(17H06100)」が平成29年5月末日に採択されるに至った.その結果,重複制約により,本課題に係る事業は開始後2か月で廃止される運びとなった.なお,基盤S課題の実施担当者も,本課題と同じ3名であり,本課題で実施予定だった内容は,基盤S課題においても問題なく実施可能である. 本2か月間においては,代表者ならびに2名の分担者での議論により,上記の文字の4機能解明に係る課題の具体化を行った.特に,フォント自動生成,デザインとフォント形状の解明,情景内文字とその意味の関係解明,情景の画像情報が与える情報と情景内文字が与える情報の関係解明,アルファベット生成プロセスの工学的解明,等の課題について具体的な方法論を設定し,担当者を決定するとともに,データ収集・実装をスタートした.上述の通り,これらはいずれも前記基盤S課題に引き継がれることになっている.
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